天明の密偵
「天明の密偵」中津文彦 文芸春秋
小説・菅江真澄 というサブタイトルがあります。
菅江真澄というひとは丸で知りませんでしたが
東北では名高い民俗学者で、その考察・写生は価値が高い、ということです。
田沼意次と松平定信との政争があり、白井秀雄は松平定信側の密偵として蝦夷地に行くように勧められる、いや、強制される。
天明の頃のお話し、蝦夷地の松前藩はこんな行政を敷いていたのかい。
ロシアはこんなふうに南下していたのかい。
蝦夷びとは商人からこんな扱いを受けていたのかい。
密貿易・抜け荷が幕府に察知されたかもしれない。
松前藩、改易するならしてみろ、ロシアと連合して、幕府と戦うのも辞さない。
白井秀雄は、うまいこと、蝦夷地に潜り込みます。
うわさ見聞を師匠に手紙で送り続けます。
ばれました。寸前で逃亡して、夜の津軽海峡を小舟で漕いで渡ります。
その後、白井秀雄は菅江真澄という名前であらわれます。
菅江真澄は歴史上の人物、白井秀雄は架空の人物かもしれない。
そこは小説、お話しだもの、菅江真澄が東北の各地を旅した、ということで、松平定信側の密偵だったのだ、そういう設定に仕立てたんですね。
人物・主人公に共感も興味も湧きませんが、蝦夷地の歴史的条件はとてもよくわかりました。
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