ひまわりの祝祭
「ひまわりの祝祭」藤原伊織 講談社
相手をきみと呼び、じぶんをぼくと呼ぶ
おまえおれの世界ではなく、きみぼくの関係ちゅうのは硬質なもんですねぇ。
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彼女はバッグから封筒をとりだし、ちゃぶ台のうえにおいた。銀行の封筒だった。かなり分厚い。
「なんだい、これは」
「退職金」
「退職金?」
「どうやら私はもう用済みらしいわね。そのなかに百万円が入ってるって。そういってた」
「百万円?」
「あなた、単語だけのおうむ返しでしかしゃべれないの?」
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脇役の若い女性との会話ですがね。
なかなかに、にやりと頬がゆるむフレーズが出てきます。
ひまわりっちゅうのは、ゴッホのひまわりのことです。
現存するひまわりの他に、未発見のひまわりがあるというお話しです。
ゴッホではなく、正しくはヴァン・ゴッホと呼ばなければならない、という指摘もあります。へぇ、そうなの。
作者の藤原伊織は今年五月に亡くなりました。
亡くなったのをキッカケで手にとってみましたが
たぶん、このひとの作品を読むのは始めてです。
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