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2007年11月21日 (水)

蚊トンボ白鬚の冒険

「蚊トンボ白鬚の冒険」藤原伊織 講談社
配管工の若者が隅田川の白鬚橋のあたりを歩いていると、突然、頭の中で耳鳴りがした。
カラスが蚊トンボを襲って、緊急避難で、若者の頭の中へ逃げ込んだのだ。
それ以来、超能力で筋肉を極限にまで使えるようになった。
登場順に人物は
シラヒゲ、蚊トンボなんだが、非常に知性も高く、若者の身体能力をアシストするパワーを持っている。
アパートの隣りの部屋にデイトレーダー、もとはアメリカのファンドマネージャーで、やくざから逃れて場末に身を隠している。
工事施主のお嬢さん、男がつきまとうのを助けてから、それがきっかけで、男と女の関係になった。
やくざの若頭、隣りの部屋の男がやくざに襲撃される、その襲撃集団のもとじめ。
アメリカから渡ってきたプログラマー、そのやくざ集団に身を寄せている。経済やくざの中心になっている。
主な登場人物はこんなもんです。
蚊トンボが頭の中に寄生して、超能力が生まれた、かなりむちゃくちゃなお話しです。
配管工はまだ一人前じゃないようです。その身分を手元と呼ぶのだそうです。
仕事場には、野丁場、町場、判るでしょ、野外の仕事か、屋内の仕事か。
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「ふうん、転職して記者かよ。インテリなんだ」
「あ、その言い方、なんかひっかかるな」
「ひっかかる?なんでよ」
「インテリって、それ、人をバカにしてる表現じゃないの。いまの時代は」
「はじめて聞いたぜ、そんなこと。だったら、いつから言葉の値打ち、そんなふうにひっくりかえったんだよ」
「ふうん、きみ、なかなかユニークな表現するわね」
「ユニークな表現?」
「うん、それってなかなか鋭い指摘だもん。きみのほうが、そこらの半端なインテリよりよっぽど知的かもしれない。たしかに言葉の使われ方のほうが変わりすぎてる時代だもんね」
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達夫は昼間のことを思い出した。「そういや、やつらがいちばんていねいなんだぜ」
「ていねいって?」
「おれたちの扱い。あんた、職人のあしらいのこと、親方と話してたろ。でもさ。やくざっていちばん、そのへん気をつかってんだよ。どっかの親分の家の作業やったときにゃ、昼メシに幕の内でたもん。それもすげえ豪華なやつ。それに休憩んとき、どっこもちゃんとお盆に茶と茶菓子のっけてきたのにはビックリした」
「へえ、じゃ、われわれ一般人のほうが雑になっているんだ」
「雑かどうかは知らないけどさ。やくざって、おれたち職人だけに限っていや、いちばん威張っちゃいけない人種だな」
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お話しはずいぶんと跳んだお話しで終始しますが
なかなかに魅力的なフレーズがちりばめられています。
週刊現代の連載小説なんだそうです。

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