夢見る黄金地球儀
「夢見る黄金地球儀」海堂尊 東京創元社
この作者には惚れ込んでいるんですが、ちょっと評価が揺らぎました。
東城大学医学部付属病院での愚痴外来田口&厚生労働省の役人白鳥
このコンビのユニークさに踊らされたものかと考え直しています。
各市町村に一億円ばらまいて、町おこしをせい、という政策がありました。
一億円を金に替えて、地球儀に仕込んだ自治体がありました。
時を経て、その金を盗もうか、という話しが起き上がってきます。
対抗で、ガードシステムに町工場が当局から絡め取られていきます。
ここまでのお話しの展開に三分の二かかっております。
テンポがゆるいので、何度読むのを投げ出そうかと思ったことでした。
この後の展開は息も吐かせぬ早業です。
あれよあれよとどんでん返しが繰り広げられます。
どんなどんでん返し?
それを言っちゃぁルール違反でしょう。
盗もうと持ちかけられた町工場の専務に、当局からガードを依頼されるわけです。
よぅし、盗んでやる、証拠も残さないで、ガードし通したようにみせかけてやる。
無理があるところを、無理を無理でなくし通すのが筆のちからなんですねぇ。
状況の設定なんですねぇ。
ただね、主人公の魅力には欠ける、チーム・バチスタ手術の田口&白鳥ほどのコンビを越える主人公を造るのは並大抵のことではないね。
三分の二まではガマンして読んでちょうだい、残り三分の一で爽快なカタルシスが待っております。
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