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2008年2月25日 (月)

あしたはドロミテを歩こう

「あしたはドロミテを歩こう」角田光代 岩波書店
サブタイトルがイタリア・アルプス・トレッキング
NHKのBS放送にトレッキングエッセイ紀行ちゅうのがありました。
番組を見ていたのを思い出します。
道が滝の裏にある写真、これを見てTVでも見ていたぞ、と思い出しました。
○ハワイでのトレッキング、こんなロングコースがあるのかと驚きました。
○アメリカのグランドキャニオン、スタートから底へ降りて登って来るコースでした。
○バリ島キンタマーニ高原、体力不足でついに登れずの結末。
○台湾の玉山、行きたい山だから真剣に見ていました。
ほかにもあるが、忘れてしまいました。
NHKと岩波書店のタイアップちゅうか、コラボレーションちゅうか、山と渓谷社ならともかく、こんな組み合わせには面食らいます。
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晴れていれば小屋からトレ・チーメが見える。
私にはグロテスクで、ひどく奇妙に見えた岩峰を、毎日見てるってどんな気分なんだろう。そう訊くと
「毎年、毎日見ても全然飽きない。きれいだなあと思うんだ」
とさりげなく答えた。
「ここに住んで五年になるけど、五年間ずっと思っているよ。きれいだなあって」
「山には登ったりもするんですか」私は訊いた。
「もちろん。去年は犬を連れていったよ」
と、部屋の隅にうずくまる犬を指してサンドロさんは言う。
「犬も?犬も喜んで山に登るんですか」
山好きの主人だと、犬も山好きになるんだろうか。しかし、サンドロさんは苦笑した。
「そりゃあ喜んじゃいないよ。でも連れていかれたら、行くしかないよ、犬としては」
私は犬に親近感を覚えた。そうそう、そうなんだよねえ、連れていかれたらいくしかないんだよねえ、帰るにはひたすら歩くしかないんだよね、犬は四肢を伸ばして眠っている。
よかった、あんたも帰ってこられて。
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ここからの登り道は、とたんに険しく、歩きにくくなる。
入り組んだ岩のあいだを、体をねじこむようにして歩き、右手に岩がなくなったと思いきや、断崖絶壁である。
ところどころ道は消え、マリオさんがいくつも足跡をつけ道を作ってくれる。
道のない岩場が続き、ロッククライミングのごとく、両手両足で岩を手さぐりでつかみ、よじのぼる道にさしかかったときは、「これはひょっとして帰れないかもしれない」と内々で思った。
それは一日目に感じた恐怖とまったく違う。
一日目は、「歩かなくてはどうしょうもない」という恐怖だったが、この山は、「歩くと災難が待ちかまえているのでは」という生々しい恐怖である。
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このNHKの番組の企画では、ベテランが歩くのではないのですよ。
ずぶの素人がトレッキングをする、筆が達者である、これが条件なんです。
おかげで、ドロミテがどんなところか、伝わってくるし、いつかは自分でも歩いてみたくなる、そんな気分になってきます。

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