早刷り岩次郎
「早刷り岩次郎」山本一力 朝日新聞出版
深川で、刷り物の店をやっていた釜田屋岩次郎は、地震で店が倒壊して、再起するのに、瓦版に仕事を変えると決心する。
早刷りを看板に、毎日朝四つ(午前10時)に売り出す方針を決定する。
創刊号を出すまでに人集め、ネタ集め、このへんが山本一力の白眉ですね。
もちろん、古くからの瓦版業者はおります。
妨害工作もいろいろあります。
競争相手はつぶしちゃならねぇ。
せめて競争相手は他に2軒はいなくちゃならねぇ。
丸勝ちで総取りすると、おごりが起きて始めの志が曲がってしまう。
この小説は週刊朝日に連載していたんですよ。
読売瓦版も今の新聞も同じことなんだねぇ。
「がってんでさ」
このフレーズが何度も出てくる。職人が声をそろえて心を一にする場面が何度もあります。
山本一力の世界には、「がってんでさ」の雄叫びが必ず出てくるもんです。
山本一力ワールドにひたると、抜け出すことができません。
夜中、11時ごろから読み始めたのだが、3時過ぎまで読み続けて、とうとう読み終えてしまった。
ページを閉じて立ち上がるのがなかなか出来ないんですよ。
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