自転車少年記
「自転車少年記」竹内真 新潮社
真っ直ぐなお話しで、読んだ後、清々しい気持ちになります。
章立ての目次を順に
1.坂道の向こう側 昇平4歳
2.特訓山の冒険 昇平6歳
3.潮風の道 草太10歳
4.二つの坂道 昇平13歳
5.海辺の少年 昇平15歳
6.笹山高校自転車部 草太16歳
7.リタイアの日 昇平18歳
8.旅立ちの道
9.三〇〇キロの助走距離 草太20歳
10.スプリングボード 奏21歳
11.いくつかの再会 昇平20歳
12.八海(はっかい)ラリー 草太24歳
13.ノブオコーナー 伸男26歳
14.飛び立つ瞬間 昇平29歳
15.道の行方
幼児が小学校、中学校、高校、大学(専門学校)、社会人とそれぞれの時期を成長していくお話しです。
12章の八海ラリーとは、自転車でチームを組んで、八王子から山梨長野を経由して新潟の日本海まで300キロを一日で駆け抜けるイベントのことです。
幼児期、小学校、中学校では、うむうむ、そんなんあるあると共感することが多いですが
高校になると、自転車競技のお話が出てくる。
へぇぇ、自転車部とはそんなものなのかい、自転車競技とはそのようにやるのかい、と知らないとこをずいぶん教えてくれます。
終章では、主人公たちに子供が生まれて、ふたたび、その子が繰り返す予感を与えてくれます。
著者の作品では他に「じーさん武勇伝」を読みました。
ハチャメチャ奇想天外な語りで、著者の作風はハチャメチャ系だと思っていました。
いいえ、真っ直ぐな語りに本来のものがあるようです。
この作品は、新潮ケーター文庫で配信されたものなのだそうです。
こんな長編を、ケータイの小さなモニターで2年半にもわたって読み続けるとは、書くほうも大変だし、読むほうも大変なことなのじゃないかしら。
悪人は出て来ないし、どろどろとした揉め事などありません。
オススメの読み物です。
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