八月のマルクス
「八月のマルクス」新野剛志 講談社
新野剛志には「あぽやん」で始めて出会ったのですが
ゆるいお話しが本線かと思っていました。
違った、「あぽやん」のほうが突然変異のようなもんでした。
女子高生をレイプしたと報道されて、芸能界を引退して五年になります。
漫才をやっていましたが、不意に元のアイカタが訪問してきます。
癌に侵されて余命がそんなにないと伝えます。
翌日、警視庁の捜査員が来ます。
芸能ライターが殺されて、五年前のレイプ事件は誤報で、動機はある、アリバイ確認です。
元のアイカタに会っているのでアリバイはあります。
こんなところから始まって、お話しの筋が集中してきます。
マルクスとは資本論のマルクスじゃないのです。無声映画時代のコメディアン、マルクス兄弟のことです。
江戸川乱歩賞の受賞作です。
江戸川乱歩賞というと、本格ミステリー、怪奇ミステリーを想像していました。
違うね、ハードボイルドだ。
探偵役が動き回って、動くことで反応を引き出して、解決へ持っていく、そんなお話しです。
どろどろとしたものや、目を覆う描写はないので、さらさらすらすら読める上質のお話しです。
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