蒲公英草紙 常野物語
「蒲公英草紙 常野物語」恩田陸 集英社
時代は日清戦争が過ぎて、日露戦争が迫るころのお話しです。
時代を色を出すためか、ひとびとをじゅうぶんに紹介するためか
お話しが動き出すのは三分の一ぐらい過ぎてからです。
お屋敷に親子四人が泊まりにきます。
常野(とこの)のひと、このひとたちは先に起きることが読めるし、「しまう」こと、「ひびく」ことが出来るのです。
どうやら、ひとびとの一生を感じ取ること、場合によっては、それを自在に展開すること、どうやらそういうことのようです。
最初は、野のひと放浪の民のことを語っているのだろうと思っていましたが、違うのかもしれない。
見て触ってはいるが、実在しないひとびとなのかもしれない。
われわれの断片が集まった仮の姿なのかもしれない。
草紙、物語、とあるように、地の文はゆったりした語りの口調なんです。
現代ではない、明治の頃を設定したのは話の舞台としてええ時期かもしれないなぁ。
恩田陸の作品としては、珍しく単層的で、離しを複雑にしていません。
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