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2008年12月13日 (土)

ギフト

「ギフト」日明恩 双葉社
日明恩とは、たちもりめぐみ、と読みます。性別は女性。
ずいぶんと寡作なひとで、警官ものの「それでも、警官は微笑う」「そして、警官は奔る」消防署員ものの「鎮火報」「埋み火」これ以外の作品を見たことがありません。
警官ものといい、消防ものといい、制服にかかわるストーリーはなんと面白いことなんでしょうね。
これは、その警官ものの、スピンアウトしたような作品です。

今は、レンタルビデオ店でパート勤務していますが、もとは警官、容疑者を過剰に追いかけて、交通事故で死なせた過去を持っています。
中学生と知り合いましたが、その子は死者が見えるのです。
彼の体に触れると、男にも死者が見えてきます。
手を離せば、見えない。
最初は、オカルトものかい、幽霊ものかい、他愛もないお話しだ、と思っていましたが、意外にも、引き込まれてしまいました。
男と中学生は、いわば、狂言回し、主役は死者のほうにあります。
○交通事故で脳漿がこぼれて手足がぶらぶらの老女が見える。
どうして交通事故にあったのか。
その事情経過が遺族に伝わって、老女はやっとあの世へ行く。
○男の足許に虐待されて息も絶え絶えの犬が見える。中学生には見える。
男はいっぺんは犬を連れて散歩したかったなぁ。
その思いに引き寄せられて、犬が男のところに現れたのだ。
○少女が現れるのだが、児童ポルノ、もっとひどい話なのでこれ以上書きたくない。
少女がこの世に残した思いは解消されて、あの世へ渡っていきます。
○うそつき女、この女の場合、自分にまでうそをついて、うそで固めているので、どこまでも未明をさまよっています、あの世へは行けない。
○男が容疑者として追いかけた少年が現れる。
追いかけられて自動車にはねられるのを、エンドレスにいつまでも繰り返している。
これも明るい解決があります。
題名の「ギフト」はどういう意味なのか。よくわからない。
最初は、興味ももひとつだなと投げやりに読み始めました。
なかなか、ひとの真実の裏側が見える、そういうお話で、引き込まれました。

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