小説会計監査
「小説会計監査」細野康弘 東洋経済新報社
小説と銘打ってはありますが、ケーススタディ、理論研究のようなもので、論証をはぶいて読みやすくしてあります。
税理士が脱税に関与しても、罰則はあるんでしょうか。
行政罰はあっても、裁判で刑事罰があるとは聞いたことがありません。
公認会計士は、有価証券報告書の作成に関与するわけで、ミスリードした場合は、刑法上の罪に問われることになります。
第1章 ムトーボウ事件
第2章 ABC銀行消滅
第3章 大日本郵便公社民営化
第3章 月光証券会計不正スキャンダル
ムトーボウとはカネボウを指し、ABC銀行とはUFJ銀行、郵便公社とは即ちあれだし、月光証券とは日興証券を指す。
金融庁の指揮監督は会計基準を無視したもので、国家権力で恣意に基準を曲げている、と指摘している。経験を語っている。
ここでの監査法人はセントラル監査法人となっているが、中央青山監査法人が実在する。
日本の旧来からの会計基準が国際化して、アメリカの基準に飲み込まれていく経過がよくわかる。
会計基準をアメリカ化したのは、小泉・竹中の私利私欲のためだと言っているが、それはどうだろうか。
著者は、中央青山監査法人のトップにまで登り詰めたひとだが、内容を全部信用することなく、批判的に読むことをお勧めします。
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