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2009年6月18日 (木)

ほうき星

「ほうき星」山本一力 角川書店
長屋の子供がりりしく生きていくお話しだったり、ええしの衆の子が親の生き方を学んで生きていくお話しだったり、このお話は後者です。
ほうき星の出る夜に女の子がおぎゃぁと生まれてきます。
父は絵師、母は鰹節問屋の次女、どうして長屋住まいの絵師に嫁いだのかは読み流してしまった。
山本一力は不幸を混ぜ込んで人生に試練を与える筋立てが多いです。
船が難破して両親とも亡くなったり、隠居していた祖母が亡くなったり、展開の度に不幸に包まれます。
不幸を書いても、山本一力のええところは、これでもかこれでもかと不幸の上塗りを描かないこと。
不幸を糧に希望をみつめていくこと。
成功譚や立身出世譚ではないのです。
終章で幼なじみと夫婦になるのを決心していますが、この先はどうなるんだろう。
話しの展開の糸口をいっぱい並べて収束しきれぬまま終わっています。
予定調和でめでたしめでたしのお話しが多いのに、ここでは未消化感が残るのは否定できないよね。

サンケイ新聞連載でした。
出版社が角川書店で、なんぼ新聞連載でも出版権はまた別なのか、こういうこともあるんですねぇ。

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