一手千両
「一手千両」岩井三四二 文芸春秋
サブタイトルに「なにわ堂島米合戦」
岩井三四二は中世の荘園や戦国時代のあれこれのお話が多いのに、これは珍しく近世のものです。
おさななじみが遊女と心中して、さらしものになっています。
心中する、その前の日に相談顔で訴えかけそうになっています。
どうも雰囲気は好いた惚れたの心中話しではなかったような。
商人の学塾の懐徳堂での同部屋だった四人がそんな気配を感じていた。
調べ始めると、死んだ友達は米会所の年行事の言いつけで何やら探っていたようなーーー
最近、米会所の外に、現銀店が現れた。
米会所の相場の上げ下げを予想して、金を張る場外取引のようなしろものらしい。
(今でもありますよね、ロンドン金相場を予想して、上げ下げを競うインチキ相場)
どうも、この現銀店、米の仲買商が裏で操っているものらしい。
ハイライトは、その大物米商人と若者米商人の相場の対決
米会所とはいっても、建物の中じゃありません、青天井、広場でのやりとりです。
やった、やったぁ、とった、とったぁ
やったの掛け声は売るぞ売るぞ、とったの掛け声は買うぞ買うぞの掛け声
値段と数量が一致すると、双方がてのひらをぶつけて売買成立
こんな姿なんだそうです。
面白い、先物相場の商いは世界で始めて、この堂島の米相場からなんだそうです。
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