舶来屋
「舶来屋」幸田真音 新潮社
幸田真音は初期の頃の国際金融のお話しが最高で、そこからは尻すぼみの状態です。
ニュービジネスのタネを探り当てて、お話しを広げても、そのビジネスの底が浅いから、いまいちですねぇ。
伝記でええものをみつけました。
銀座のサンモトヤマの創業者、茂登山長市郎の伝記です。
茂登山長市郎は、銀座の商人の子息ですが、店は弟に譲って、闇市で新しい仕事をみつけます。
外国にでかけ、エルメス、グッチを知り、取引できるようになります。
取引できるようになるまでが大変で、そのへんの経過は長い章立てになっております。
ブランド品を輸入してショップを建設して販売するわけですが
ヨーロッパのブランドオーナーが直営店を進出させるので、駆逐される羽目になる。
取り扱い商品、売上高は縮小して、致命的な打撃を受けるが
中近東の産品、アジアの産品、稀少品、ラグジュアリーグッズですね
そっちのほうへ転換して行く。
茂登山長市郎、サンモトヤマ、この名前を変えて、架空のお話しを創造することなく
あったことをあったように書いて伝える、主人公の行動こそが読者を感動させるのでしょうね。
その意味では
幸田真音の筆のちからではなく、茂登山長市郎の人物のありように興味がありますね。
小説なんだけど、自由な展開を控えたところが、この小説の読みどころなんでしょうね。
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