覇天の歌
「覇天の歌」岩井三四二 講談社
岩井三四二の小説には荘園の管理者や陰陽師、伊勢神宮の御師など、古文書の片隅に出てくる人物が登場します。
作品群にちょいちょい連歌師があちこちに出てますが、これは連歌師が主人公
紹巴(じょうは)が主人公です。
奈良興福寺の召使の子だが、次男坊で生きる手立てとして、連歌師になることを志す。
弟子入りしたが、修行といってカリキュラムがあるわけでもなく、なんとなく空気をすっているうち、最初の師匠は死んでしまう。
拾われて、紹巴は二度目の師匠を得た。
この修行時代が読んでいて一番快いなぁ。
連歌の座は十人程度で、主催者が発句をよむ、付け句、三句は上手(じょうず)がつける。
句を執筆(しゅひつ)が記録し、指合(さしあい)という連歌のルールに合うか合わぬかを点検しながら座を進めていく。
二番目の師匠が死んで、順番があがって、宗匠として世に出ることになる。
覇天とは業界のトップを目指すことで、この場合は連歌の道でのことなのだ。
公家衆に出入りして、足利幕府の管領などの高官の連歌の席に出入りするようになる。
信長の時代、明智との親交、秀吉の知己を得ることになる。
関白英次の屋敷に出入りしていたので、斬首はまぬかれたものの、追放となる。
サブの主人公は細川幽斎、和歌の道は敷島の道、連歌の道は筑波の道、幽斎は古今伝授を得た敷島の道の達者です。
紹巴の限界をよく知っていて、世の渡り方にそっとヒントをくれることもあります。
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