暴雪圏
「暴雪圏」佐々木譲 新潮社
出だしのところが川久保篤巡査部長の描写なので、「制服捜査」の川久保篤巡査部長が活躍するお話しと思うじゃないですか。
十勝地方は彼岸の大雪で、暴風と降雪で各地の道路は途絶してしまいます。
ペンショングリーンルーフに次々と雪から逃れて避難してくる。
やくざ組長宅を襲撃して金庫から金を奪い組長の妻を撃ち殺した強盗犯。
出会い系サイトで知り合い、関係を続けたい男ともう関係を打ち切りたい女。
予約していた老夫婦。
勤め先から金庫の金を盗み出した男。
義父にレイプされ、逃げ出して、たまたま通りかかったトラックをヒッチハイクしてもらった男女。
実のところ
川久保篤巡査部長とペンショングリーンルーフとはえらく離れているのです。
雪で道路が途絶して、暴風で道を歩くこともできないのです。
だから
大部分は、グリーンルーフに入るまで、グリーンルーフ中でのやりとりばかりです。
犯罪者だったり、心がけの悪い男女だったりで、同情したり、感情移入できる相手ではありません。
何度も途中で本を放り出して、読み続ける気が消えました。
最後
川久保篤巡査部長たったひとりでの逮捕、ここがカタルシスです。
この気持ちよさを求めて、ずっと辛抱して読み続けました。
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