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2010年12月14日 (火)

刻まれない明日

「刻まれない明日」三崎亜記 祥伝社
いつの時代か知れぬ未来でのお話しです。
3095人が突然消えてしまいました。
あれから10年、ここからお話しは始まります。
通しての主人公はいません。
次々とリレーしながら、お話しを紡いでいきます。
主任歩行技師、道路が意思を持っているので、なだめて、平静を保たせる仕事。
担当者、消えたひとが(今はもう存在しない)図書館第五分館を利用している、その利用記録を親族に届ける仕事。
ひかりラジオ、消えたひとからリクエストが届く、そのリクエストを放送する。
ちょっと一部の仕事は省略します。
いつの時代か知れぬ未来でのこと、余剰思念のコントロールが制度化されます。
ひとびとは供給公社の「抽出ルーム」に行って、「抽出」する。
「抽出」された思念は位相変換されて気化放出されている。
なぜか、その思念が違法に蓄積されて、漏えいしてしまった。
漏えいした思念のせいで、3095人は消えてしまった。
それが10年前のこと。
その漏えいを隠して、取り繕うのがここでのお話しです。
読み易いかというと、極めて読みにくいお話しです。
理解を越えた仕事のひとびとがいて、共感も反感も持ちようもありません。
ほとんど巻末近くになって、10年前に何があったかを語ります。
振り返ると、なるほど、そういう仕事かい、と役割が解ってきます。
カタルシスというか、魂の解放というか、その種の読後感は出てきません。
未消化の感じは残っています。
カタチの上では予定調和の終わり方なのですが、突き放した終わり方になっています。

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