刀圭
「刀圭」中島要 光文社
薬を盛るために使う匙は別名「刀圭」とよばれ、医師のことを「刀圭家」と言った、のだそうな。
裏長屋で医者を開業することになったのは偶然のなりゆきです。
薬代、謝礼を取らず、暮らしにあった程度の料金で患者を受けております。
薬種問屋の若旦那と衝突して、薬が手に入らなくなる。
薬が尽きると、掌を返したように、長屋の連中は寄り付かなくなる。
逆に、うらまれることにもなる。
どこの薬種商からも相手にされず、医者をやめようか、とも落ち込んでしまう。
失意が過ぎて、腕が震えて、外科の手術もできなくなる。
最後は明るい結末なんですよ。
一転、すっかり問題解決するいきさつは、ネタばらしだから、語りません。
予定調和のごとく大団円で収まってはいるが、途中で読むのをやめようかな、と思ったこともあります。
医者の崇高な理念では片付かない、患者がそれにつけこみ、慣れて、乗っかることを当たり前と思ってしまう。
当たり前が崩れると、陰口をきく、面罵する、恨む。患者が貧しいと、掌を返したようなあしらいになるのだねぇ。
ハッピーエンドのとってもええお話しなのに、枝葉の部分にひっかかって、話しを堰き止めてしまう、ごめんなさいねぇ。
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