おくうたま
「おくうたま」岩井三四二 光文社
本の表紙の絵がいかつい初老の男なので、主人公は師匠のほうかと錯覚しました。
主人公は少年です。
浅井家の殿の二男で、戦に負けて落ちてきた。
身を隠すため、医師のもとへ預けられる。医者になるための修行が始まる。
当時の医者は、傷医者と本道に分けられる、傷医者は外科医、本道は薬で治療する内科医、どちらも治療するが、得手不得手がある。
こっちは傷医者、町中で患者を待つより、戦場で怪我人を求めるほうが早い。
羽柴小一郎(秀吉の弟)の軍勢に身を寄せる。
浅井の縁者がばれたらタダでは済まないが、なぁに、灯台もと暗しだ。
桑名、但馬と転戦して、やはり、浅井家を再興したい、師匠と離れて、医者から武士に転職する。
本願寺の縁で、加賀の一向一揆に所属する。柴田勝家の軍勢にさんざんに負かされる。
近江に帰り、明智光秀の軍勢に加わるが、あっというまに負け戦となる。
加賀の奥地の五家荘に戻り、習い覚えた医者の腕で飯のタネを得る。
助けた幼児から礼を言われる、「おくうたま、あっとう」、お医者(くすし)さま、ありがとう、の意味。
題名の「おくうたま」はこういうわけだったのだ。
浅井家の再興などの考えは捨てて、医師として生きていく腹を固める。
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