下町ロケット
「下町ロケット」池井戸潤 小学館
ビジネス小説には、悪いやつはとことん悪くて、胸が悪くなって読み続けられなくなるものもたくさんあります。
その点、これはどこまでも希望の持てるお話し、予定調和で大団円に向かって行きますが、予定調和でなにが悪い、こういうものを求めているのです。
ロケット発射が失敗して、責任を負わされて、退職して、研究者から父の町工場へ転職します。
あれから十何年、町工場は高い品質で知られる会社に育っています。
特許訴訟をしかけられます。
訴訟を長引かせて、資金繰りに行き詰らせ、乗っ取りを図る意図からの訴訟です。
帝国重工が新しいロケットを開発しています。
そのキーになるノズルシステムは、この町工場が特許を先に取っております。
特許を売ってほしい、だめなら、特許使用の占有権を契約してほしい。
この町工場、断ります、製品で納入することを求めます。
肝心のキーデバイスを町工場に抑えられてはメンツにかかわる、このへんがビジネス小説の攻防なんですね。
いやぁ、面白い。
上場企業がきりきり舞いする、銀行が高姿勢から一転卑屈になる、天下の帝国重工がロケットを飛ばせなくなる。
そりゃぁもう、爽快なお話しです。
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