刑事さん、さようなら
「刑事さん、さようなら」樋口有介 中央公論新社
警察小説に、正義の警察官と悪い警察官の二種類がありますよね。
これは悪い方の警察小説です。
介護されていた老妻が殺されたのが一件、刑事が自殺したのが一件、身元不明の殺人事件が一件。
埼玉県警田舎町の警察です。
川向うの群馬県のほうが繁華街なんだそうです。
そんなローカルな埼玉県は知らないなぁ。
なにが悪い警察官か、捜査しているうち、殺人事件の犯人は自殺した警官とわかってきます。
ここは隠さなきゃ、署長、課長、ホンチョウも絡めて、なかったことに、伏せることにします。
悪い警察小説でも、そのまま終わるわけじゃない。
意外な反撃があって、警官は復讐されることになります。
陰湿な警官たちと思うでしょ。
悪い警官なんですが、おもわず、応援してしまうのです。
肩入れしてしまうのですよ。
老妻殺人事件、犯人は娘らしいのですよ。
介護していた夫が犯人とされて裁判に送られますが、ええじゃないか、どうせ執行猶予だ、覆すほどのもんじゃない。
このへんの判断が、悪い警官の判断で、あんがい悪くない判断なんですよ。
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