橘花抄
「橘花抄」葉室麟 新潮社
黒田藩のお家騒動です。
前藩主光之は隠居していても、藩政を把握している。
現藩主綱政は鬱屈した毎日を送っている。
綱政の兄、綱之は廃嫡されて、僧形となり、泰雲と名乗って、復権を画策している。
立花重根は家老として光之に仕えていた。
前藩主光之が死亡すると、現藩主綱政の報復が始まる。
泰雲の娘、卯乃は立花重根の屋敷に預けられている。
剣客の争いがある。
立花重根の弟、立花峯均は宮本武蔵の衣鉢を継いで、二天流の使い手となる。
津田天馬という邪険の使い手が暗殺者としてたちはだかる。
聞香が繰り返し出てくるのですよ。権力闘争、剣を取っての闘争にまじって、香をたく場面が出てくるのは、読み手を冷静にさせるためなのか。
五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする
題名の橘花抄について語れば、この歌を手紙にしたためる場面があるからかな。
週刊新潮に連載されました。
ずいぶん格調高い語り口で、こんな内容が通勤電車の往復で読まれているとは、日本人とは、なかなか文化の水準が高い民族です。
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