鉄のしぶきがはねる
「鉄のしぶきがはねる」 まはら三桃 講談社
舞台は工業高校、電子機械科のクラスの中で女は一人だけ。
その女の子、名前が三郷心、略称、もの研、正式名、ものづくり研究部のお手伝いをすることになった。
最初は単なるお手伝いだっかたが、<高校生ものづくりコンテスト>別名<ものづくり甲子園>を目指すようになった。
おじいちゃんが町工場を起こしたのだ。職人を何十人も集めて盛業だったのだが、受注先の大手が倒産してからは、先細りになったのだ。
おじいちゃんは病気で倒れて、工場も倒産してしまった。
子供のころは工場の中で育ったのだ。旋盤に向かうと、切削の匂いを思い出してしまう。
<鉄のしぶきがはねる>というと、溶接か鋳物が舞台と思うでしょう、いいえ、旋盤で競うのです。
校内選抜、地区選抜、九州選抜、ここを戦って、ものづくり甲子園の王者を争うのだ。
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あのね、心ちゃん、、言葉の使い方がおかしいよ。なんもかんも削るんやないよ。旋盤を使えば「削る」とか「挽く」、ドリルで穴をあけるのは「揉む」。平面をかき削るときは「きさぐ」。おんなじ「削る」でも、ほんのちょっとの時には、「さらう」とか「なめる」とか言うんよ。鉄の加工の仕方によって、言葉は変わるんやから。そんなこと言いいよったら、おじいちゃんに怒られるよ。
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若者がまっすぐに目標に向かって突き進んでいく爽やかなお話しです。
著者は、まはら三桃と書いて、まはらみと、と読みます。
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