4月に読んだ本
4月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3379ページ
ナイス数:19ナイス「横審の魔女」と呼ばれて
横綱審議委員会の任期は十年です。その十年間、週刊朝日に「横審レポート」を連載していました。当然、場所ごとに委員会は開催されるので、年間六回の不定期連載です。知らなかった、横審の委員の報酬は出ないのだそうです。本場所で見るのは自費自前なんです。随分と持ち出しの仕事だなぁ。単に、週刊誌連載の記事を集めただけなら、ただの企画ものです。巻頭100ページで、週刊朝日の記者と、あれはどういう経緯だったのですか、ここで書かれている意図は、などなど、かなり解題・解説を加えてあるので、さらにさらに、面白くなっております。
読了日:04月29日 著者:内館 牧子
散り椿
藩政をめぐる派閥ものです。藩主を抑えて専横を尽くす家老がいます。派閥を形成しています。側用人が異を唱えて家老に対抗しています。18年前に、藩から致仕したのか放逐されたのか、浪人が帰ってきた。若い侍の家に居候する。若い侍が両方の派閥の間をビリヤードの球のように転々とするのがストーリーです。最初は派閥の力で動かされていたが、段々と自分の意志で動き始める、こういうところがええのです。18年前の父の切腹、重役の暗殺、発端はそのあたりにありました。勧善懲悪、その筋書き通りに展開しますが、そこがええのです。
読了日:04月22日 著者:葉室 麟
無双の花
九州在住の作家だから書けた題材、筑後柳川藩の立花宗茂の一代記です。九州の大名では、島津はよく題材に登るが、他の大名は小説の主人公になることが少ない。黒田家、加藤家は九州生まれではないから別としますね。関ヶ原の戦で、西軍に加わった。見出してくれた豊臣秀吉に恩義があったからです。負けたために所領没収、浪人暮らしになります。陪臣は望まない、大名を望んで、江戸で徳川家康からの呼び出しを待ちます。ここからは上昇機運に乗って世に出るのだが、不遇の時代にも立花の道を貫いた。利を考えず義を貫く、几帳面な生き方なんです。
読了日:04月21日 著者:葉室 麟
ニッポンの「世界No.1」企業―技術と先読み力でぶっちぎれ
マイナス164度に耐えるポンプー荏原製作所・.00001%の世界で勝つ材料ーADEKA・1億回伸縮しても折れないバネー神戸製鋼所・10万個の磁気ヘッドを製造できる基盤ー日本タングステン・ホタルの光の1万分の1の明るさを計測ー東北電子工業・ロケットの電子部品にも使われる樹脂ーダイソー・世界需要6000トン、健康食品の原料ー協和発酵バイオ・化粧品で人気の世界唯一の還元型素材ーカネカ・「薄くする技術」でスマホで稼ぐー三井金属工業(ここまで9項目、さらに45項目続くが、書ききれないので省略します)
読了日:04月20日 著者:若桜木 虔
決起! コロヨシ!!2
前作「コロヨシ」の2作目です。高校掃除部、長物を駆使して塵芥を扱うスポーツです。全国大会で一位を争うこともあり、旧国技と対抗して新国技として掃除を認めさせる対抗戦もあります。ストーリーを要約することはしません。ゲームのノベライズだと思ってください。剣豪小説の変形でもあり、野球・サッカーの観戦記のようなものなのです。いやぁ、よくぞこんな奇妙な掃除ワールドを考え抜いたもんだ。作者は、小説を離れて、ゲームの世界に入った方が、報酬ははるかに多いだろうと思いますよ。
読了日:04月19日 著者:三崎 亜記
神君家康の密書
「蛍大名の変身」「冥土の茶席 井戸茶碗「柴田」由来記」「神君家康の密書」収められているのは中編が三話。「蛍大名の変身」京極高次が意地を貫いたお話し。姉が秀吉の側室に入り、その引きで大名に取り立てられているという噂がある。関ヶ原の戦の前に、徳川家康に味方して徳川方の勝利に貢献した、というお話し。「冥土の茶席 井戸茶碗「柴田」由来記」胸打つエピソードが、いまいち。「神君家康の密書」福島正則が関ヶ原の前に、徳川家康に味方するのに条件を付けた。豊臣秀頼の命は守ること。起請文を書く約束をして、文書化するのがなかなか
読了日:04月15日 著者:加藤 廣
完盗オンサイト
アメリカ・ヨーロッパで名前を響かせた若者、男と女だが、かってはパートナーを組んでいたこともある。それぞれ、別の理由で日本へ帰ってきた。ちょっとストーリーを省略しますね。それぞれ雇われた。雇い主の目的は、皇居の盆栽を盗むこと。徳川家光のころの盆栽で、名前が三代将軍。クライミングの世界では、一目見ただけで登ってしまうのをオンサイトと言います。泥棒も同じ、とりわけ皇居のものを盗もうというのだから、失敗すれば次はない、一回こっきりオンサイトですよね。扉に作家の写真がある。このひとクライミングの経験があるのかしら。
読了日:04月12日 著者:玖村 まゆみ
されど時は過ぎ行く
富豪だが、かっては帝国海軍の軍医だった。戦友の息子が、つけねらわれて殺されそうになっている。部下に命じて、その息子を守ることにする。さて、このお話し、うんと遠くで語っているようで、まるで迫ってこないんですよ。ダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラーなどのハードボイルド仕立てで、実に客観描写なんですよ。むちゃくちゃ遠い、体温が伝わってこない。きわめて読み易いが、巻頭の登場人物表と照合しないと、これは誰の台詞?どんな役割のひと?読み終わったあと、満足感、達成感は湧いてきません。
読了日:04月08日 著者:北方 謙三
鷹のように帆をあげて
女子中学生が鷹匠に挑戦するストーリーです。ペットショップで売れ残った鷹に魅了されます。マンション住まいですが、寺の墓地裏で鷹を飼うことを許してもらえます。同級生の寺の息子がええキャラクターを出しています。佐賀県武雄市に女子高校生が鷹匠をしていることを知ります。ヒロインは福岡在住です。ちょいちょい訪ねて、いろいろ教えてもらいます。この女子高生、実在の人物なんです。この小説のヒロインは架空のものだよ。この鷹、雛のときはペットショップにいたので、野生が乏しい。野生に返して、ちゃんとした鷹に成長するように訓練する
読了日:04月06日 著者:まはら 三桃
平蔵の首
火盗改め長谷川平蔵のお話しなんですがね、池波正太郎が語り、中村吉右衛門がテレビで映像化しているので、独自のものを積み上げるのは難しいですねぇ。読みながら、姿かたちは中村吉右衛門そのままで、新しいイメージの長谷川平蔵が浮かんでくる、のではないですねぇ。盗人に押し込まれて、その家の娘が殺された。許婚の六三郎は盗人に身を落としてかたきをねらう。かたきは野火止の矢左衛門、その手下の如夜叉の忠五郎、忠五郎のおんなおりく、忠五郎、おりくと順番に殺されていく。残るは野火止の矢左衛門、そのかたき討ちに長谷川平蔵がからんで
読了日:04月05日 著者:逢坂 剛
再会の街―探偵・竹花
老いた総会屋の依頼で、娘と孫を探していた。娘と孫が誘拐されるところを助けた。それ以来、娘と孫は姿を消した。探す仕事は継続している。誘拐されそうになったとき、たまたま一緒に救助したブローカーを助手に使うことにした。条件がある、ボルネオの石炭の利権がものになりそうだ。その背景を探ってくれ。ふたつの事件が入り混じって進行します。探偵ものというのは、次から次へ人が登場します。こいつは誰、こいつは何物、と吟味しながら読んで行きますが、途中から面倒になってくる。通りすがりの人物のように読み飛ばしていく。それでも最後は
読了日:04月03日 著者:藤田 宜永
2012年4月の読書メーターまとめ詳細
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