おまえさん【下】
「おまえさん【下】」宮部みゆき 講談社
よれよれと瓶屋の主人が殺されたのは、20年前のかたき討ちではないとわかった。
事情を知った何者かが、うっぷん晴らしに殺したものとわかった。
お話しの筋立ては込み入っていますよ。
上下巻にわたるほど長くなったのは、登場人物ひとりひとりが生き生きとして動いているから。
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「おしんは元気でやっているかい?」
途端に、お徳の顔に生気が戻った。
「元気ですよ。癪に障るくらい元気です。だって旦那、あたしは今でも日にいっぺんは腰を抜かしているんだから。台所であんなにぶきっちょな女が、この世にいるんだね!」
おしんは、<台所のことは得意じゃない>と言っていたが、それどころじゃなかったのか。
「鍛え甲斐があっていいじゃねえか」
「犬に念仏踊りを教える方が、まだ易しいですよ」
毒づくお徳の目は明るい。
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こんなやりとりで、サブキャラクターがきらきらと輝いてくる。
小説の勘どころは、筋立てだけじゃないよ。メインのキャラクターだけじゃない、サブのキャラクターも浮かび上がらなきゃね。
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