舟を編む
「舟を編む」三浦しをん 光文社
この小説では、玄武書房で「大渡海」という辞書を編集するお話しなんです。
下敷きには、富山房「大言海」が視野に入ってのことでしょうね。
非常に少数精鋭で辞書を編んでいく、辞書は言葉の海を渡る舟だ、これが小説の題名の由来です。
何十年もの格闘の末、やっと「大渡海」は刊行出版されました。
めでたく終わってこそなんですよ、悲劇的な結末など誰も望んではいないよ。
主人公の名前が、馬締光也、まじめみつや、実にマジメなキャラクターなんですよ。ええキャラクターを創造したなぁ。
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「こだわり」はいい意味で使ってはならん言葉だぞ。「匠のこだわりの逸品」などと言うが、ありゃぁ誤用だ。「こだわり」の本来の意味は、「拘泥すること。難癖をつけること」なんだから。
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西岡にとって女は謎の生き物で、「なんでこいつを?」と骨折するような勢いで首をかしげたくなるような男を選んでみせる。
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どんな言葉を辞書に採集していくか、辞書の編集が20年も30年もかかるのはなぜか。ふぅむ、そんな事情があるのかい。
辞書編集の作業は真面目そのものだが、小説の地の言葉がくだけている。地力、地頭、などがあるように、地言葉という表現で表せば伝わるだろうか。
めちゃめちゃ面白いよぉ。おすすめです。
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