2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5763ページ
ナイス数:33ナイス
ヒートアップの感想
麻薬取締官七尾が主人公。ヒートという薬があります。違法薬物で、戦場で兵士が極限まで力を絞り出す薬効があります。少年の抗争事件で、ヒートが使われている疑いがある。売人は倒産した製薬会社の社員で、どれだけ在庫を持っているかわからない。やくざが近づいてくる。組のナンバー3で渉外委員長の肩書を持っている。どう見ても、しがないサラリーマンにしか見えない。麻取にタイアップを申し出る。麻取の人員では足りないだろう。売人を探すのに、組員を使って情報収集をしようというのだ。このあとは、あれよあれよの展開が続きます。
読了日:11月27日 著者:中山 七里
漏洩 素行調査官の感想
監察の部門の中で、入江警視正のチームは同級生で私立探偵上がりの本郷と定年間近い北本の三人のチームなのだ。監察の対象は警察内部、警察が警察を取り締まる部門です。ファンドを組んで最後には全部取り込んでしまう詐欺が横行している。ファンドの黒幕は政界の影武者で、出資者には警察高官、検察高官、裁判官なども関わっている。これを暴いて潰すことになります。登場人物がただ事じゃなく多い。ちゃんと相互関係が判るように書き分けてあるし、それぞれに人物の肉づけもあってキャラクターが立っています。素行調査官シリーズ、面白いです。
読了日:11月27日 著者:笹本 稜平
プリズン・トリックの感想
江戸川和乱歩賞受賞作で、密室トリックのミステリーです。刑務所内で受刑者が殺された。出入り口がないので密室殺人だ。もうひとり受刑者が脱走した。脱走した受刑者はもともと、すりかわって裁判を受けた別人だった。なんだかねぇ、幾何の証明を読んでいるようで、人間の体温が伝わってこないんですよ。密室トリック、うんと前は面白いなと思ったこともありましたが、今は興味がないね。
読了日:11月27日 著者:遠藤 武文
デッドエンド―ボディーガード工藤兵悟の感想
工藤兵悟はフランスの外人部隊の出身、退役後、東京にいて今は警護の仕事を引き受けている。ロシア人でコンスタンチン・カジンスキーから警護の依頼があった。狙っているのはヴィクトル・タケオビッチ・オキタ、日本人とロシア人の混血児だ。東京での警備は終えて、さらにロシアでも続けて警備をしてくれるように依頼された。これから先は、誰が味方で誰が敵か訳わからなくなってくるんですよ。で、まぁ、予定調和、そうなるだろうという風にお話しは終わります。
読了日:11月26日 著者:今野 敏
回廊封鎖の感想
今はもう倒産したサラ金の会社だが、そこの元支店長や元課長、次々と殺される。犯人は最初から登場しています。サラ金への多重債務で家庭が崩壊した男が仲間を集めてサラ金の関係者に復讐していくお話しです。過払い利息の返還訴訟で復讐に同意する仲間を糾合したのです。一方、捜査一課の刑事もだんだんと網を絞っていきます。次に殺される対象者は、元専務で、今は香港で事業を営んでいる男です。東京アジア映画ウィーク、そのイベントに香港の映画スターで愛人、一緒に東京へやってきます。さて、復讐は成功するか。警察は事前に逮捕できるか。
読了日:11月26日 著者:佐々木 譲
青葉耀く 敬恩館風雲録(下)の感想
藩校でのおのれを磨いていく学園ストーリーではないのです。お家騒動です。赤ん坊のうちに隣家の赤ん坊と取り換えられたのか、取り換えるのを止めたのか。藩主の隠し子はどっち。よく判らないまま、好きなようにお話しは転がって行きます。
読了日:11月26日 著者:米村 圭伍
青葉耀く 敬恩館風雲録(上)の感想
藩校が舞台なだけに、てっきり塾生の青春録だと思って読み始めました。あれぇ、違うなぁ、お家騒動だ。藩主の隠し種をめぐって、暗殺しようとする一派がいるということ。助ける仲間がいるということ。まぁ、そのぉ、よくあるお話しです。
読了日:11月26日 著者:米村 圭伍
七つの会議の感想
[七つ]とは[たくさん]の意味で、たくさんの会議と理解すればええのでしょうね。売上の強制は半端ではなく、会議では未達者はいつもずたずたぼろぼろにされてしまいます。コストダウン、コストダウンで、品質不良の安い品を偽装してしまいます。ネジで品質不良のネジを入れてしまいました。ここからがストーリーの展開、隠し通せるか、明らかにするか、葛藤が始まります。言ってみれば、どいつもこいつも悪者なんですよ。ヒーローは一人なんだが、どう見ても働きの悪い不良社員です。企業小説はどれを読んでも後味の悪さが残りますが池井戸潤のは
読了日:11月17日 著者:池井戸 潤
147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官の感想
江戸川乱歩賞の「よろずのことに気をつけよ」が面白かったので、第二作も読んでみました。サブタイトルに、法医昆虫学捜査官とあります。処女作は呪いがテーマ、これは昆虫がテーマです。147ヘルツ、何のこと?150ヘルツがスズメバチの羽音、147ヘルツがハエの羽音、スズメバチのものまねをして鳥などから逃げているのだそうな。本庁一課の警部補と所轄の若い刑事がコンビで行動します。それに、大学準教授の女性の昆虫学者が参加します。放火された建物に焼け焦げた死体が放置されている。死体の体内にはウジがボール状になって大量にある
読了日:11月14日 著者:川瀬 七緒
よろずのことに気をつけよの感想
第57回江戸川乱歩賞受賞作です。祖父が殺された。床下に怪しげな呪いの道具が置いてある。ツテをたどって、文化人類学民俗学の主人公のところへ女子大生が訪ねてくる。これは呪禁師(じゅごんし)の仕業だな。呪禁師は、陰陽師安倍晴明が追放してしまった。今でも呪禁師の痕跡を見るとは驚きだね。ストーリー展開が容易に判るように時間を遡りますね。祖父が若いころ、なにかやってしまったのですよ。呪禁師の子孫が追いかけて50何年後に殺してしまった、こういうことです。それを、現在から遡って逆にたどるのがストーリーです。
読了日:11月13日 著者:川瀬 七緒
地層捜査の感想
元都議が15年前の殺人事件の捜査を依頼してくる。勲章が貰えない。時効が消滅する法律が出来たのだから、本気で捜査して、濡れ衣を晴らしてほしい。警視庁捜査一課の警部補と退職した警察相談員を専従にあてることにした。古い事件を掘り返すわけです。いやぁ、描写が細かいなぁ。捜査の段取り・手順はこんなふうに行われるものなのだろうなぁ。佐々木譲というと、北海道警察、道警とまず思うでしょ。違うのだ。警視庁、四谷警察署、佐々木譲の警察もので道警以外を舞台にするのは始めて見た。四谷界隈の路地の隅々が手に取るように見えてくる。
読了日:11月12日 著者:佐々木 譲
なぜ日本経済は世界最強と言われるのかの感想
以前にはぐっちーさんのブログを読んでいました。[金持ちまっしぐら]というタイトルで、名前は偽悪的ですが、内容はきわめてまともなものでした。大急ぎのひとは、第6章日本神話、いまだ健在、第5章中国バブル崩壊、韓国の生殺与奪権、ここだけ読むのをお奨めします。投資信託、ファンドを抱えているひとは、第4章日本の投信、年金、株の真実とマスコミの嘘、第3章世界一安全な日本国際の威力、を読んだ方がええ。第1章2013年、日はまた昇る、第2章世界最強通貨・円(YEN)、総論ですね、日本経済について自信が湧いてきます。
読了日:11月11日 著者:ぐっちーさん
あるじは家康の感想
「あるじは信長」「あるじは秀吉」に次ぐシリーズ三作目です。粗忽者(そこつもの)家康が今川での人質時代、石川数正。勇者(けなげもの)一向一揆、蜂屋半之丞一揆を裏切って家康に帰参する。裏切者(うらぎりもの)武田信玄侵攻、奥平九八郎長篠城を守る。有徳者(うとくもの)本能寺の変、茶屋四郎次郎家康を助ける。親族者(うからもの)関ヶ原合戦、松平家忠淀城を死守。異国者(いこくもの)ウィリアム・アダムス三浦按針となる。忠義者(ちゅうぎもの)大久保忠隣派閥争いに負けて蟄居、蟄居も許されるのだが
読了日:11月10日 著者:岩井 三四二
江戸へ吹く風の感想
安房里見家の家臣、金丸強右衛門、半農半士の身分なのだ。百姓のかたわら、小舟を持って舟商いをしている。豊臣の小田原攻めに参加したが、勝ったのに領地は減ってしまった。徳川が江戸に入って、関東一円を治めることになった。舟商いで江戸に寄せてみると繁盛に繁盛していて驚くばかりだ。長男は城勤め、次男は舟商いに専念させることにする。関ヶ原の御沙汰で、里見家は改易になってしまった。江戸の近くに他家の大名がいるのを嫌ったためだ。長男は百姓に戻ることにする。武士として周囲を押さえるところ、船頭として海を渡って行くとところ
読了日:11月8日 著者:岩井 三四二
難儀でござる
読了日:11月4日 著者:岩井 三四二
冬姫の感想
冬姫は織田信長の息女、表向きは美濃の郷士の娘との間に生まれた子としているが、実は、正室帰蝶との間に生まれた子なのだ。偽装しなければならない事情があったのだ。男には戦があるが、女にも女いくさがある。嫁いだ家より生まれた家のほうが大事、せっせと情報を送り、婚家を生家に引き寄せるのが女いくさなのだ。冬姫は近江日野の蒲生家に嫁ぐ。婿殿は後の蒲生氏郷なのだ。本能寺の変で織田家は没落する。この上は婚家を専一に考えなければならぬ。淀の方に憎まれ、潰しにかけられる。前半は織田家の側室の間での女の戦い。後半は淀君との戦い。
読了日:11月2日 著者:葉室 麟
信長死すべしの感想
正親町(おおぎまち))天皇と織田信長の戦いです。織田信長、自らを神として君臨しよう、朝廷など屁でもない、神官の棟梁にでも押し下げてしまおうか。正親町天皇、安土城への行幸の願いを無視し続けます。行けば幽閉されるのは目に見えている。綸旨を出して信長を討たせよう。明智光秀に白羽の矢が立ちます。あとは、ご存じ、本能寺の変にまっしぐらです。
読了日:11月1日 著者:山本 兼一
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