推定脅威
「推定脅威」未須本有生 文芸春秋
筆者は飛行機設計のプロ、理系の生硬な文章ではなく、余裕のある筆致です。
51歳、人生経験もあります。
舞台は、浜松の航空機メーカーと小松の航空基地。
訓練機・戦闘機兼用のジェット機が相次いで落下します。
メーカーの設計担当に女性がいます。
積極的に首を突っ込んで、小松のパイロット仲間から好感を得ます。
落下の原因は、スクランブルで迎撃して、不明機の動きに惑わされたのが推定される。
航空機の設計段階、ジェット機の実戦運用、書かれていることが面白い。
さすが航空機メーカーの勤務があったからこそ書けた内容です。
意味は理解できなくても、設計思想は伝わるし、メーカーにもテストパイロットを抱えているのです。
テスト段階での不具合を洗い出す作業などは、へぇぇ、と唸るものがあります。
枝葉に、ハニートラップあり、出世争いの暗闘あり、事故とからみあっています。
どうやら初作のようですが、この先、期待できる作家です。
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