「六花落々(りっかふるふる)」西條奈加 祥伝社
作者は、伝奇小説から始まって、長屋もの、を経て、折り目正しい楷書の小説に進みました。
下総古河八万石、老中にも就任できる家格の藩です。
郡方の小役人で軽輩の尚七が、長時間地面を見つめているのを見とがめられた。
雪を見ておりまする。雪の小片、結晶を見ておりまする。
話しかけたのは、番方の者頭、鷹見忠常だった。
そなたが[なぜなに尚七]か。認められて、若殿の御学問相手に抜擢された。
番方の者頭は用人に進み、いずれは家老へと昇進していく。
尚七と鷹見忠常それに若殿とは、雪の結晶を通じて深く通じ合った。
のちに、「雪華図説」として出版される。



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