悟浄出立
「悟浄出立」万城目学 新潮社
題名からして、てっきり西遊記のお話しだろうと読み始めましたが、違った、それぞれ別々の中編四篇でした。
[悟浄出立]語り手沙悟浄、主人公猪八戒、西域での怪物とのエピソード。
[趙雲西航]語り手趙雲、主人公張飛・諸葛亮、三国志、蜀の国への遠征の旅路。
[虞姫寂静]語り手虞美人、主人公項羽、項羽と劉邦の戦いで項羽が負ける、その前夜のこと。
[法家孤憤]語り手京科、主人公荊軻、読みが同じ、荊軻は秦王の暗殺に失敗する。
[父司馬遷]語り手司馬遷の娘、榮、主人公司馬遷、去勢の刑で、どん底から蘇る瞬間。
わたしの好みは、[法家孤憤][父司馬遷]
「鴨川ホルモー」から「とっぴんぱらりの風太郎」などの一連のロマネスクとは違って、楷書のような筆致、おぬし、このような作風もいけるのだ。
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