九十九藤
「九十九藤(つづらふじ)」西條奈加 集英社
お藤は口入屋に差配として乗り込んだ。
口入れ稼業は武家屋敷への中間の斡旋で、全然儲かっていなかった。
お藤の目途は商家に向いていた。
商家の表は近江伊勢からの出身で占めていたが、裏は江戸の現地採用だった。
そこへ、台所仕事から掃除仕事など、じゅうぶんに教え込んだ人材を送り込んだ。
これが口入株組合には気に入らない。
潰して取り込もうとしにくる。
中間頭に黒羽の百蔵がいる。
この男、過去の経緯があって、クライマックスに絡んでくる人物です。
西条加奈のデビュー作は「金春屋ゴメス」、その奇作から堂々の本格へと変わって来たのだ。
山本一力の江戸商人ものと、葉室麟の武士ものを、足して二で割ったような、そのような感じです。
題名の九十九藤、普通ならつくも藤と読むところだが、あえてつづら藤と読ませている。
はらってもはらっても絡みつく世間のしがらみを指しているんでしょうねぇ。
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