かけおちる
「かけおちる」青山文平 文芸春秋
阿部重秀は柳原藩の未だ郡役所の下僚に過ぎなかった。
門閥の娘を娶った。
過去に不義を働いた、と噂のある娘だった。
娘が生まれたが、それをおいて、某世話方と一緒に欠け落ちしてしまった。
めがたき討ちを果たして戻って来た。
その後は順調に出世して、執政の地位にいる。
鮭の遡上を引き込んで、藩の財政の助けになる目途も立ってきた。
巻末のあたりで、あの欠け落ちには、別の意味があったのだと告白される。
欠け落ちについては、出し抜けな感じはあるが、藩の財政について、藩上層部の行動・考え方について、大きく納得が行く。
欠け落ちなど、生々しいことを語りながら、きわめてサラサラとお話しが運んで行く。
武士が武士らしく生きていくには、これを語るには、硬い筆致でなければならん、のだろうなぁ。
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