刑罰0号
「刑罰0号」西條奈加 徳間書店
マッドサイエンティストのお話しです。
夢をコントロールできる、これがお話しの発端です。
たいてい、小説は同化作用を与えるものですが、これは違う。
ものすごい異化作用を与えます。
連作の小説ですが、最初の篇がすごい。
犯罪の陰に原爆の被爆二世三世が出てきます。
被爆者のじいちゃんよ、いつまで被爆を売り物しているんじゃ、うざいし聞き飽きた。
それで犯罪に走ります。広島人ならこういう設定はありゃぁせんじゃろぅ。
犯罪者に罰を与えるのに、脳に電極からデータを送り込みます。
被害者の感情を電極を通して、脳に記憶を埋め込むのだから衝撃です。
アンチ反核運動の最初の伏線は見事に回収されます。
そのための伏線だったのかい。
マッドサイエンティストは狂っていたんじゃなかった。
読んでいて、異化、異化、最後に同化。違和感からやっと解放された。
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