太閤私記
「太閤私記」花村萬月 講談社
日吉丸は山落(おとし)の出身、まだ元服前、針を商って放浪している。
少年のくせに色事には達者なんですよ。
蜂須賀小六の愛妾とねんごろになり、生駒屋敷の吉乃ともむつみあう。
信長の小者になるのを許され、足軽組頭に引き上げられる。木下藤吉郎と名乗る。
寧々が長屋の前に引っ越して来る。惚れました。
秘術を尽くして嫁に貰う。ここまででほぼ6割程度のお話しの運び、小者足軽時代を丹念に拾い上げています。
嫁を貰ってからは一挙にお話しが進んで行く。
墨俣城の築造、竹中半兵衛を招く。朝倉攻めで浅井の裏切りにあい、しんがりを勤める。
巻き直して、浅井を攻め滅ぼした。
ここまでの物語だが、これで終わりではないだろう。
日吉丸、木下藤吉郎の時代から、羽柴秀吉、豊臣秀吉の時代へ続くわけで、続編が待っているのでしょうね。
花村萬月、漢字の使い方に特徴があります。
<一族は韓鍛冶(からかぬち)の子孫である>
<妾宅(しょうたく)がわからず、小首をかしげると、妾(をんなめ)の家だと他人事のように言った>
<無数の幼い精霊飛蝗(しょりょうばった)が弧を描く>
<愚かなり。なんという鈍(おぞま)しさか>
<たしかに妾は強かじゃ>
<抽んでた美貌であることが思い知らされ>
<小六に窘められるまで語って聞かせた>
フリガナを振ってくれないと読めない字もあるが、フリガナがないので、読めずに当て推量で読む字もある。
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