8月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2018
ナイス数:95
検事の信義の感想
中編四篇です。語り手は検察事務官増田、佐方検事の担当事務官なのだ。主人公は検事。「裁きを望む」人家侵入窃盗事件、判決は無罪。実は、一事不再理を狙ってのこと。「恨みを刻む」覚醒剤取締法違反、アリバイ成立。実は、悪徳刑事の策謀。「正義を質す」暴力団抗争について検察が手心を加える、のか。暴力団幹部を釈放すれば抗争は収まる。「信義を守る」母親殺人事件、殺人に至る深いわけ。被告があえて刑務所入りを望むわけ。
読了日:08月21日 著者:柚月裕子
覆面作家の感想
主人公は自分、大沢在昌です。身辺雑記ですが、ありそうな話だが、これは創作だな、虚実入り混じったお話しだなとわかります。日が暮れて、夜の街に飲みに行って出会ったお話しだったり、学生時代の友人にばったり出会って、その身に降り掛かったお話しだったり、大沢在昌のいつものストーリーテリングの調子はありません。文壇私小説の世界のようで、読みながら、どこか勝手が違うぞ、大沢在昌ではないみたい。短編集主題の「覆面作家」ですが、覆面作家の裏にさらに覆面作家がいるのです。このへんは、いつもの伏線を撒き、回収していく大沢在昌で
読了日:08月20日 著者:大沢 在昌
父子ゆえ 摺師安次郎人情暦の感想
摺師安次郎人情暦のシリーズでは「いろあわせ」を読んでいます。そうか、安次郎には子供がいたのか。亡妻の里で子供は育ててもらっている。子供が怪我したことを機会に、やはり、自分の子供は自分で育てよう。里から引き取った。父ちゃんは摺師、あたいは彫師になるんだ、親子で同じ絵に関わるんだ。絵師がいて、彫師がいて、摺師がいて、版元が出版できるのだ。長屋のやり取り、摺り場での意地張り、町人と武士の違い、いろいろあります。巻末で、安次郎は亡妻の後添えをもらう気配で終わっています。お仕事小説であり、人情小説なんです。
読了日:08月18日 著者:梶よう子
お茶壺道中の感想
仁吉は宇治から江戸の葉茶屋に奉公に出た。宇治からお茶壷が江戸まで公儀の道中をするのが自慢で必ず見物に行くのが常だった。ずいずいずっころばしごまみそずい、茶壷に追われてとっぴんしゃん。時は幕末、横浜が開港して、横浜店を開くのに携わった。慶応三年、徳川幕府の権威は揺らいで、最後のお茶壷道中の出立にも立ち会った。幕府が揺らぐのと同様、老舗の商いも新しい商いに変わらねば立ち行かない。子どもから若衆、手代、番頭へと出世して行く立身出世のお話しです。仁吉→仁太郎(元服後の名前)→太兵衛、太兵衛は老舗の旦那名、主となり
読了日:08月16日 著者:梶 よう子
帰去来の感想
ヒロインは志麻由子、こっちの世界では巡査部長。ナイトハンターの張り込みで、襲われて命を落としかけた。転生して、パラレルワールドに転がり込んだ。ここはアジア連邦日本共和国東京市、志麻由子警視となっている。時代は相当遅れている時代に入ったみたい。東京市は、黒羽組とツルギ会、ふたつの暴力団が対立している。志麻由子警視はふたつの暴力団を煽り壊滅させる。パラレルワールド、タイムマシン、この説明が難しい。理解しようとしても埒が明かないので流されるままに読んで行く。最後、元の世界へ戻れる。志麻由子巡査部長は生き残ったが
読了日:08月10日 著者:大沢 在昌
わたし、定時で帰ります。 ハイパーの感想
前作では、闘う対象はパワハラ上司、帝国陸軍のインパール作戦を指揮した無能な将軍と重なります。この作では、パワハラなのは得意先、上司以上に難敵です。ここで底流に流れるテーマソングは忠臣蔵。我慢に我慢、最後は跳ね返してかたきを取る。そりゃもぅ、イジメにイジメられのを耐え忍ぶところを読むのがつらい。それだけに、仕返ししたところを読むとスカッとする。テレビドラマではさらっとと流していましたが、本格的に格闘し、最後はコンペを勝ち取るのです。前作から今作まで、ウジウジと前に進まない恋愛でしたが、ネタバラシ、おめでとう
読了日:08月04日 著者:朱野 帰子
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