雨上がり月霞む夜
「雨上がり月霞む夜」西條奈加 中央公論新社
西條奈加の小説は、今ではすっかり長屋もので名を上げていますが、スタートはロマネスクです。
ロマネスクにピカレスクを混ぜた、すさまじい小説でした。
純粋なロマネスクに立ち返りました。
主人公は雨月、相棒に秋成、のちのち、上田秋成として世に出ます。
それに紛れ込むのが兎、遊戯と名を持つあやかしなのだ。
いえいえ、騒動が起きるわけじゃありません、清談というか、神仙噺というか、淡々と進んでいきます。
いえ、騒動はあります。
騒動の元は、怨霊だったり、あやかしだったり、そういう種類の小説なんです。
章が終末に近くなり、雨月の正体が明らかになります。伝えなくても分かるでしょ。
上田秋成「雨月物語」が誕生するまでを語ってきたのです。
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