12月に読んだ本
12月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3347
ナイス数:66木練柿 (光文社時代小説文庫)の感想
こねりがきと読む。4篇の中編集。弥勒シリーズで、それぞれ脇役がスピンオフしたものです。〇楓容(ふうよう)の客:遠野屋の女中頭おみつ、盗賊の仕掛けに掛からず、盗賊を退ける。〇海石榴(つばき)の道:同業者の帯屋の三郷屋の主人が人殺しの容疑で獄門になるかも。〇宵に咲く花:岡っ引き伊佐治の息子太助の嫁おけい、おけいは夕顔が嫌い、これが事件の引き出し。〇木練柿:これはスピンオフじゃないように見えて、スピンオフ。遠野屋の赤んぼが攫われる。タイトルが内容の雰囲気を表しているが、木練柿は印象描写、意味が伝わりにくい。
読了日:12月30日 著者:あさの あつこ
夜叉桜 (光文社時代小説文庫)の感想
弥勒シリーズの2作目です。隠売婦が連続して殺される。一方、別件、遠野屋清之介が攫われる。清之介は元は武士だが、父が暗殺団を組織していて、今は清之介の兄が暗殺団の元締めにいるのだ。家老を斬れ。断ります。別件の方はこの先、シリーズを通して絡むようだ。隠売殺し、意外な方向で下手人が上がる。あさのあつこは独特な漢字を使い、文脈を操る。その一部を抜き書きすると、春を鬻(ひさ)ぐ、窘(たしな)める、手刀を項根(うなね)に叩き込む、滅鬼積鬼(めっきしゃっき)は凄まじかった、大蚊(ががんぼ)が一匹、生々しく露(あらわ)で
読了日:12月27日 著者:あさの あつこ
弥勒の月 (光文社時代小説文庫)の感想
弥勒シリーズの初篇です。遠野屋清之介の妻が川に身投げして死んだ。この件を取り扱うのは北町常廻り同心小暮信次郎、岡っ引き(親分)伊佐治。江戸で次々に人が死ぬ。同心小暮は遠野屋に何かがあると探りを入れる。小間物問屋遠野屋の主だが、武士だった昔があるのだ。その当時は父に命じられて暗殺に精を出していた。父を殺して脱藩した、という過去がある。武士だった頃のことはともかく、江戸で次々と人が死ぬのは遠野屋とは関係ない。人を殺したくなる誰かがいるのだうっかり読み飛ばしたが、弥勒にどのような寓意が込められていたのかしら。
読了日:12月24日 著者:あさの あつこ
「韓国大破滅」入門 どこへ向かうのか? いつ何が起こるのか? どう対処すべきか?の感想
この本の出版日は9月30日です。GSOMIA は破棄されるという前提で書かれています。ほぼ我々も知っている内容が書かれていますが、おこれは、の一項。ノージャパンで日本商品が売れなくなった。日本の韓国支店は閉鎖撤退するでしょう。韓国従業員として韓国人留学生は雇用されることがなくなりました。日本政府は韓国人の学生ビザを絞るでしょう。日本の銀行も、貸し剝がしに態度を変えるでしょう。日本から韓国には、ヒト、モノ、カネ、供給雇用が途絶えるでしょう。ノージャパンで気炎を上げているが、こういう潮流は読めているでしょうか
読了日:12月21日 著者:渡邉哲也
花を呑む (光文社時代小説文庫)の感想
主人公は、北町常廻り同心小暮信次郎、小間物問屋遠野屋の主人清之介、岡っ引き(親分)伊佐治。油問屋東海屋の主人が殺された。死体には牡丹の花が口いっぱいに詰め込まれていた。タイトルの「花を呑む」そのままの世界です。同心小暮の狷介な性格はそのままですが、遠野屋の過去が語られてきます。町人になる前は武士で、父に命じられて何人も暗殺したということ。弥勒シリーズはこれで2冊目ですが、同心小暮は遠野屋の過去を知っているのか。並外れた腕の冴えはよく分かっています。花の香り、においがキーになります。
読了日:12月18日 著者:あさの あつこ
地に巣くう (光文社時代小説文庫)の感想
北町常廻り同心小暮信次郎、小間物問屋遠野屋の主人清之介、岡っ引き(親分)伊佐治。小暮は夜道を襲われて傷を負った。ここから紐を手繰り始め、父親、同心の小暮右衛門が抜け荷に加担していたことを探り出す。こう書いてしまえば単純だが、巻頭から巻末までを一挙に圧縮すると、こういうことなのだ。三人とも只者ではない。話す言葉、語る口跡が魅力的なのだ。あの、バッテリーのあさのあつこが時代小説に達者なのにびっくりする。弥勒シリーズの一つなのだ。読んで、毎回唸るのは、漢字の使い方が達者なこと。漢籍にも詳しいのじゃなかろうか。
読了日:12月16日 著者:あさの あつこ
中国でいま何が起きているのか 米中激突、香港デモ、経済ショック…激動の中国社会を現地レポートの感想
日中両方を往復している人だそうです。中国では上海に家があると語っている。中国国籍で中国政府を罵るのは度胸がいることでしょうね。必ず統計の出元を示して、それを根拠に主張するように書いている。それでも、中国のイミグレーションを通ると、どんな処分が待っているか危ういと思います。序章、1章、2章はつまらん。斜め読みで飛ばしてケッコウ。3章以下の各論に入ると面白くなる。羅列的な話題なので、次々とコラムが並べてあるような記述方法なのだ。自分の興味のあるところだけ読み拾って、他は読み捨て、こんな読み方になってしまう。
読了日:12月14日 著者:邱海涛
夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマンの感想
「マイ・ディア・ポリスマン」「春は始まりのうた メイ・ディア・ポリスマン」の続編です。設定は前作と同じです。初篇は覚えていない。春篇は幽霊が出るというお話。特殊詐欺、外国人研修生からの搾取、それにはヤクザが絡んでいるらしい。市長もつるんでいるそうなので、取り扱いに注意しなくては。交番のお巡りさんを取り囲んで、チームが出来上がります。この調子では、秋篇、冬篇も続くみたいだね。WEBマガジンに連載の小説だそうです。ネット連載なら、一度に大量の文章は提供できないし、小刻みに連載するからそこはコツがあるんでしょう
読了日:12月09日 著者:小路幸也
春は始まりのうた マイ・ディア・ポリスマンの感想
「マイ・ディア・ポリスマン」という前作がありまして、これはその続編です。関東某県某市に交番があります。東楽観寺前交番。そこの若いお巡りさんが主人公です。幽霊が出没しているらしい。そういう噂が交番に集まってきます。このお巡り、もとは刑事で、交番に左遷されたものらしい。そのへんの事情がお話の芯になります。お話はゆるい。常に切迫感なく語られます。節ごとに、姓名・職業がタイトルで、その人の視線・主観で語られます。常に、話し言葉、つぶやき言葉で、全体として、ゆるいお話が広がっていきます。そこがええのよ。
読了日:12月06日 著者:小路幸也
百舌落としの感想
百舌シリーズ第八弾です。百舌が生きたまま両目をテグスで縫い合わされ、木の枝に結わえ付けられてバタバタ暴れているのが見つかる。百舌落としという技法なのだそうな。かっての<百舌>は死んだのに、<百舌>と名乗る殺人犯がいる。警察の公安を退職した大杉は調査会社を開いている。上司の倉木は公安畑に在職している。新聞記者の残間も<百舌>を追う。いったい、<百舌>とは誰なのか。<百舌>は殺されます。誰かはここでは語れません。この中の二人が死にます。誰かは明かせないけどね。主要人物が死んでしまったから、もう<百舌>の続編は
読了日:12月04日 著者:逢坂 剛
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