いも殿さま
「いも殿さま」土橋章宏 角川書店
旗本の井戸平左衛門、勘定方から石見銀山の代官を命じられた。
着任すると、田畑は不作で飢饉にあえいでいる。
唐芋に頼ろう。藤十郎、薩摩で芋を手に入れてくれ。
用人の藤十郎、奉行所手代の金三郎、修行僧の泰永、この三人で薩摩に芋を求めに行く。
薩摩から芋は持ち出し禁止、手に入れて持ち出すまでがハイライトなのですよ。
持ち帰った種芋がちゃんと収穫できるまでには、まだまだ程遠い。
飢饉は進み、平左衛門は代官所の米蔵を開いて百姓に開放する。
当然、罪に問われます。
罪に問われるが、石見では、いも殿さま、いも代官さま、とあがめられる。
ゆるいお話なんですよ。
緊迫感などどこにもない。嫌味などなく涼やかに読み続けられる。
こういうお伽噺のようなものもええもんですねぇ。
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