1月に読んだ本
1月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2270
ナイス数:52
科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました (文春文庫)の感想
雑誌連載時、ハードカバー発売時の題名は「賢者の石、売ります」文庫版では題名を変えました。お話しの展開は題名通り、原理原則通りのコチコチの科学信奉者なんですよ。マイナスイオン、パワーストーンなど、似非科学だと蹴散らしています。美容家電の部署に異動になりました。マイナスイオンの商品を売っていかなきゃならない。最初は、主人公だから感情移入して読んでいました。違和感、抵抗感ありあり、段々主人公に反感が湧いてきます。95%程度読んだところで、主人公変節。なぜ変節したのか、どう変節したのかは読んでくれなくては解らない
読了日:01月30日 著者:朱野 帰子
世界を制した「日本的技術発想」 日本人が知らない日本の強み (ブルーバックス)の感想
サブタイトルが、日本人が知らない日本の強み、著者は日本工業会サラリーマンを経て、社長、会長を勤める。工業界の動静には詳しい。出版年が2008年なんですよ、13年前の出版だ。ドッグイヤーで言えば、2サイクル前の記事内容なんですよ。その時点で、大きなアドバンテージを得ている。13年経過して、そのアドバンテージを失ったとは思いませんがね。表紙のイラストがからくり人形の茶運び人形なんですよ。すでに当時、技術はかなり高度なものを持っていました。江戸時代のからくり技術が今でも繋がっている、のです。
読了日:01月22日 著者:志村幸雄
タイワニーズ 故郷喪失者の物語の感想
第1章が、蓮舫と台湾の政治家、この章が面白くない。読まなくてよろしい。飛ばして第2章から読めばよろしい。第2章、直木賞作家東山彰良、芥川賞候補作家温又柔。第3章、ジュディ・オング、余貴美子。第4章、551蓬莱の羅報強、インスタント麺の安藤百福。第5章、陳舜臣、邱永漢。終章、タイワニーズとは?2章から5章、いずれも、台湾生まれ、日本育ち。中には、大陸生まれ、台湾経由日本育ちもいる。人それぞれで、主軸は台湾だったり、日本だったり。タイワニーズという括りで、これほどの人材がいるのだ。終章、日本は台湾を2回捨てた
読了日:01月19日 著者:野嶋 剛
天を測るの感想
小野友五郎、笠間藩牧野家家臣。長崎海軍伝習所の一期生、測量が専門なのだ。咸臨丸が米国に向かうので、召集された。測量方運用方に任命される。現代で言えば航海士。天測の手腕は抜群でアメリカ海軍の航海士より優秀なのだ。同じ船に勝海舟と福沢諭吉がいる。小野友五郎からすると、二人は役立たずなのだ。帰国後は、藩士から旗本に引き抜かれる。ここからは、軍艦は造るは、江戸湾防衛の要塞を造るは、造船所製鉄所を造るは、多忙を極める。技術者として要請に答え、どんどん出世していく。大政奉還、鳥羽伏見の戦い、江戸開城、幕府は負けました
読了日:01月15日 著者:今野敏
烏金(からすがね) (光文社文庫)の感想
浅吉は、金貸しお吟のところにもぐりこんだ。使い走り取り立てを請け負った。浅吉は利息計算も達者で、よく働いた。算学の先生に拾われて、仕込まれた経過があるのだ。無理な取り立てをするわけじゃない、暮らしが立ちながら金を稼ぐ方法を考えてやるのだ。無償の善意でお吟のところに潜り込んだわけじゃない。それはバレます。悲劇的な結末を迎えるはず、ところが、意外なハッピーエンドの結末が待っている。烏金とは、朝借りて夕方には金を返す、夕方借りて朝には返す。そういう金の貸借のこと。烏をペットにしている、そういう道具立てもあります
読了日:01月13日 著者:西條 奈加
冬の狩人 狩人シリーズの感想
狩人シリーズ、場所はH県本郷市で起きた多人数殺人事件、本郷市はモチムネの企業城下町なのだ。殺されたのはモチムネの幹部、弁護士、市長、三年経っても犯人のメドが立たない。現場にいて姿を消したのが弁護士の秘書、彼女からH県警にメールが来た。県警に出頭します。ただし、警視庁の佐江警部補と保護下であるのが条件です。H県警は、佐江の相棒として刑事になりたての新米をあてがった、名前が川村。この後、あれよあれよの展開です。モチムネには役員間の内紛あり、乗っ取りを謀る中国企業あり。川村クン、鍛えられて芯のある刑事が誕生した
読了日:01月11日 著者:大沢 在昌
銀閣の人 (角川書店単行本)の感想
室町幕府の足利義政の足跡です。妻は富子、富子のせいで応仁の乱は始まった。わしは政事はせん、文事だけする。祖父は義満、金閣を建てた、それに張り合う気満々なのだ。豪華を目指すのではない。詫びにおく、寂びにおく。寝殿造りは性に合わぬ、会所を目指そう。襖で仕切り、畳を敷こう。装飾の品々を置く押板を高くしよう、床の間と呼ぼう。こういう部屋の造りを書院と呼ぼう。四畳半がよいな、この距離なら主客の身分は対等になる。密談向きじゃ、大広間で大声を出すことはいらぬ。金閣、銀閣と名高いが、ここで新しい和室の歴史が始まったのだ。
読了日:01月09日 著者:門井 慶喜
東京カウガール (PHP文芸文庫)の感想
小路幸也の本に外れはないと、ずっと読んでいます。おおむね日常を描く小説ばかりなのですが、これは違う。出だしが、若い女が男を関節を折り全治何ケ月まで痛めつける場面から始まります。お話の引き金はオレオレ詐欺の敵討ちです。東京カウガールとは牛飼いの女の子という意味じゃない、カウボーイほどの腕っぷしなんです。じゃ、ハードボイルドか、いいえ、小路幸也特有のほっこりとした筆致です。周囲の暖かい人たちに包まれて、若い男女が結ばれていく、そういうお話です。なんだ、小路幸也お得意の、日常を描くお話しなの。そう、そういうこと
読了日:01月02日 著者:小路 幸也
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