小隊
「小隊」砂川文次 文芸春秋
安達三尉は第27連隊の右第1中隊のうちの小隊を指揮している。
ロシヤ軍が北海道に進軍した。
釧路駐屯地から東の戦線でロシヤ軍を迎撃する。
稚内から侵略するロシヤ軍を迎撃する別の連隊もいる。
自衛隊とは、階級からの敬語と年次から敬語で、新任将校が古参兵曹に敬語で話すことは普通だ。
一挙に戦火が開く。
戦車に火箭を集め、歩兵に銃弾を浴びせる。
敵の銃弾砲弾は塹壕の掩体掩蔽を破壊する。白兵戦になり、安達三尉も至近で敵兵を射殺した。
小隊の大勢が戦死した。
中隊は中隊長以下砲撃を受けて姿が見えない。
撤退、生きている兵を集めて、駐屯地まで引き返した。
古参の曹長と出合った。
日ごろは敬語を使うのだが、普通にぞんざい語で引き回せるようになっていた。
全部が戦闘描写だ。
なぜロシヤ軍が侵攻したのか、その後の戦争は、勝ったのか負けたのか、書いてはない。
読者は、だしぬけに戦場へ放り込まれ、否応なく戦闘を共に読み続けていく。
最初の局面だけ、その後どうなるか、ぶつ切りでページが終わってしまう。
2020年後半期での芥川賞候補作品なのだそうな。
受賞はしなかったが、純文学の代表作の仲間入りとは、文学も変化しているんですね。
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