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「ラブ・ミー・テンダー」小路幸也 集英社
東京バンドワゴンシリーズ第12巻目です。
過去に遡っての外伝です。
まだ勘一が40代、我南人がはたちそこそこの頃のお話しです。
勘一の妻、サチは霊界から顔を出します。だから、レギュラー。
我南人の妻、秋実は、早く死んだので全然顔を出すこともありません。
この巻では、存分に活躍します。
我南人と秋実が出会ったのは、やくざに追われているところを我南人が助けたところ。
緊急避難で、東京バンドワゴンの我が家に連れて行きます。
近所の口裏合わせに、我南人のいいなずけだということにします。
これって、勘一とサチの出会いと同じじゃありませんか。
ここで二人が大暴れ、芸能界のタブーをぶち破ります。
これまでの巻の題名はビートルズの曲名に由来していました。
ここはプレスリーから由来している。
我南人の決め台詞、LOVE だねぇ、LOVE を打ち出す曲ならプレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」が最適なのかしら。
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」小路幸也 集英社
東京バンドワゴンシリーズの11巻目です。
夏、チャーリングクロス街の夜は更けて、これがムチャクチャ面白い。
東京バンドワゴンの古本屋に英国紳士が訪問します。
英国秘密情報部のメンバーです。
英国人の自費出版の本を譲ってほしい、言い草が気に入らないから追い返します。
直ぐにイギリスに行こう。翌日イギリスに向かいます。
そこで英国情報部と渡り合うのですが、そこはここでは語れない。
万事解決するのです、ということだけは明かしてもよろしいかな。
表題のザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
ほんとに、長くて曲がりくねった道だよ。
何がどうとは語らないが、感動的な展開だよ。
「ヒルは木から落ちてこない。ぼくらのヤマビル研究記」樋口大良+子どもヤマビル研究会 山と渓谷社
三重県四日市市少年自然の家で子どもヤマビル研究会が始まった。
ヤマビルの撲滅が目的ではないよ。
ヤマビルの調査と生態解明が目的なのだ。
世間でよく言う、ヤマビルは木の上から降ってくる。間違いです。
表紙に、傘を逆にしてヤマビルを受けている子どもの写真があります。
これはネットでも有名な写真、こんな風に実証的に追及しています。
子どもが、ですよ。小学生が、ですよ。
ヤマビルは上からではなく、地面から這い上ってくるのです。
ヤマビルはどうやって生息域を広げるのか。
シカが広げている。これが世間大方の意見です。
一部はそうかもしれないが、大部分は水の流れに乗って広がっています。
いくら取り尽しても、次の大雨のあと、大量のヤマビルがいます。
指導者、ボランティアは前に出ず、子どもの自主性に任せています。
大部分は小学生、一部中学生がいます。
研究者も舌を巻く知見にあふれています。
発表会やケーブルTV出演で頼もしがられています。
奈良の春日山の山続きで石仏の芳山(ほやま)があります。わたし、そこでヤマビルにやられたことがあります。
ただいま読んでいる東京バンドワゴンシリーズ、10巻まで読みました。
11巻からは三次市立図書館にありません。
ネットで調べてみると、隣接の庄原市立図書館に11巻から16巻まであるようです。
出かけて行って、図書館利用カードを登録しました。
住民でなくても登録できるんですね。知らんかった。
早速、11巻、12巻を借りました。
わざわざ行かなくても、隣接自治体の図書館の本は三次にいるまま、お取り寄せできるようです。
隣接自治体とは、庄原市、府中市、世羅町、東広島市、安芸高田市、島根県美郷町、島根県飯南町。
ただし、届くまで一週間かかるか10日かかるか予想がつかない。
やっぱり、自分で足を運んだほうが早いと判断しました。
「ヒア・カムズ・ザ・サン」小路幸也 集英社
東京バンドワゴンシリーズ10巻目です。
毎度お馴染みの語り口、そこが快適なのですよ。
宮内庁の役人がやってきて、蔵の中の資料をよこせ。
経済官庁も絡んで来て、かなり本気の締め付けです。
60代のおじいちゃん、我南人が活躍します。
ただのロックンローラーじゃないのです。筋金入りのロックンローラーなのです。
我南人の活躍で乗り切ります。
それはどんな風に?そこは読んでくれなきゃ。ここではネタバレできません。
研人も高校に入学します。
シリーズ第1巻では小学生だったのです。ずいぶん年月が経った。
1年1作で刊行していて10年経過、小説の時間経過は15年なんだそうです。
ひいじいさんの勘一が亡くなればシリーズも終わりなのでしょうが
まだまだ終わる気配はありません。
腕が上がらなくなって、整形外科で電気治療とリハビリ・エクササイズを受けています。
自分自身でも独自のリハビリを、ということで、近所を自転車でポタリングしています。
休憩終わり。自転車を立たせて、自転車のペダルに足を掛けて、踏む。
ペダルを踏み損ねて空中を踏んでしまった。からあしになった。空ペダル。
当然、バッタリと自転車は倒れます。
自分も倒れる。手足での受け身を取れず、胸から飛び込んでしまった。
息が詰まるほどの衝撃で、痛いのなんの。
整形外科に行って、肋骨は折れてはいません、打撲・肉離れです。
教訓、その一、スタートのペダルはしっかり踏むんだよ、ペダルから足が滑ったら、即、空中浮遊だよ。
空中浮遊から地面に墜落すると、勢いがあるから、うんと痛いよ。
「フロム・ミー・トゥ・ユー」小路幸也 集英社
東京バンドワゴンシリーーズの8巻目です。
いつもなら、サチさんが霊界から語って、4話の中編なのですが、この巻は違う。
11話の短編で、語り手がリレーして行く。
藤島直也が語る「縁もたけなわ味なもの」藤島はIT業界の社長、暇を作り出して、古本屋東京バンドワワゴンを訪ねた。
何気ない一言で店主勘一を怒らせてしまった。
ここから長いお付き合いが始まるのです。
隣のカフェから聞こえてくる音楽がフロム・ミー・トゥ・ユー、題名のフロム・ミー・トゥ・ユーに繋がるのです。
堀田家家族にまつわるエピソードもあるし、家族外のエピソードもあります。
「包丁いっぽん相見互い」では、行きつけの小料理屋さんが友達の親子関係の世話焼きをする、とまぁ、こんな場面もあります。
ふるさとの
訛なつかし
停車場の
人ごみの中に
そを聞きに行く
ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聞きに行く
上の歌は五七五八七で区切りしたもの(一部字余り)
下の歌は石川啄木の区切りのまま
詠みあげるとき、どうしても五七五七七のリズムで詠んでしまいます
啄木は、十二 十三 七 で詠んでほしかったみたい
さぁ、どっち、リズムで詠みましょうか、意味の塊りで詠みましょうか
意味の塊りなのだから、私の短歌は二行で詠んでほしい、という歌人もいます
三行で詠んでほしい場合は、三行で書きます、とその歌人は言っています
でもねぇ、意味の塊りなど関係なく、五七五七七で朗々と歌い上げるのは気持ちがええのですよ
宮中の歌会始の朗詠、あれには参ってしまう、あまりに古風
奈良時代・平安時代は、あれでうっとりしていたんですねぇ
昨日、グチをこぼしました
[ctrl+c ctrl+x ctrl+v などのショートカット操作が効かなくなってしまいました]
効かないのは、ショートカット操作だけではありませんでした
Enter(改行)も効いたり効かなかったり
タイピングが追い付かない、単語の頭の部分が欠けたまま、単語の末尾だけタイプされる
IMEが壊れたのかと疑いました
はた、と思い付いて、キーボードの裏ブタを開けて、電池を引き抜きました
電池テスターで探ると、赤ランプです、ははぁ、これかぁ
新しい電池に替えると、問題なく動きます
マウスの電池は数か月毎に入れ替えるのに、キーボードの電池はここ数年間一度も替えていません
キーボードの電池のことなどすっかり忘れていました
ということで、前に書いた、Shift キーを連続して5回押す、については
読み流してください、へぇ、そんなこともあるんだ、その程度に思って重要視しないでね
苦し紛れに辿り着いた切り抜け策、だと思ってください
考え直すと、本当に解決策が的中したのか、その時たまたま電池の電気が通ったのか、定かじゃないです
検索すればたいていの答えが得られる、と書きましたが、いいえ、見当はずれの答えのケースもあります
ctrl+c ctrl+x ctrl+v などのショートカット操作が効かなくなってしまいました
しょうがないので、マウスで範囲指定して右側クリックで、コピー、切り取り、貼り付け、して凌ぎました
[ctrl+c が効かない]これをキーワードで検索しました
再起動しろとか、キーボードが壊れているとか、ドライバーを再インストールしろとか
いろんな意見がありますが
これがベストと採用した方法
Shift キーを連続して5回押す
あら不思議、ショートカット操作が無事復活しました
こうすることで、固定キー機能を無効化するのだそうです
どうやら、無意識に固定キー機能を与えてしまっていたようです
自縄自縛というやつで、知らないうちに何かして、どうにもならなくなったようです
なんでShift キーなのか、なんで5回なのか、そこは分かりません
このように、困った内容をキーワードで検索すれば、たいてい、答えは見つかるもんです
ノートパソコンで大トラブルに嵌まり込みました
電源を入れて、壁紙が出て、そこから先に進まない
通常なら、日にちと時間を表示するはずなのだが、それが出ない
次にパスワードを書き入れる欄が出るはずだが、その手前で止まったままなのです
別のパソコンで、「パスワード欄が出ない」このワードで検索しました
いろんな解決方法を案内しています
中には、Windows10 を初期状態に戻す、こんな原理主義・教条主義のようなアドバイスもあります
従うか従わないか、よぅく考えましょう
アドバイスは多方面から求めるべきです
[CTRLキーとALTキーを押しながら、DELキーを押す]
これで解決しました
パスワード欄が出て、パスワード入力、無事使えるようになりました
ある意見ではこんなことを言っています「よくあるトラブルです」
こんなトラブル、頻繁にあってたまるか
ノートパソコンでよく現れるそうです
デスクトップでは現れることはないようです
「マイ・ブルー・ヘブン」小路幸也 集英社
東京バンドワゴンシリーズの番外編です。
時代は終戦直後、進駐軍がうろうろしている時代のお話しです。
語り手は亡くなったおばあちゃんのサチ、ほとんど出番がなくて不憫じゃありませんか。
それをおぎなってのヒロイン中心のお話しです。
子爵の五条辻家の長女、咲智子、両親から小箱を預かります。
中身は手紙、天皇陛下の書簡なのだそうです。
絶対に奪われてはいけない。某所まで届けなさい。
進駐軍の追手がかかって窮地に陥ります。
その時、助けたのが堀田勘一、古本屋東京バンドワゴンに匿います。
勘一と偽装結婚しなさい。サチと名前を変えて近所に取り繕いましょう。
堀田一家と進駐軍の戦いが始まります。
勘一とサチの情が通い始めます。
偽装結婚はやめだ。俺と夫婦になってくれないか。(ネタバレゴメン)
「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」大島真寿美 文芸春秋
道頓堀で育って、操浄瑠璃の竹本座に入り浸って育つ。
作者部屋に入り浸って作者を目指す。近松半二と名乗る。
同じような洟垂れ仲間は並木正三と名乗った。しょうざと読む。
正三は歌舞伎のほうに移った。
半二が最初に書いたものが「役行者大峰桜」評判はまずまず。
客の好みは操浄瑠璃から歌舞伎に移っていった。
「妹背山婦女庭訓」を書き上げて大当たりした。
連続してヒットは叶わなかった。次第に歌舞伎が主流になっていった。
歌舞伎の台本の言葉は台詞という。
操浄瑠璃の台本の言葉は詞章と言うのだそうな。
それは始めて知った。
小説の地の文がモノローグ、だれかのモノローグが別のだれかのモノローグに移っていく。
小説の会話と会話を埋めるのがト書きなのだが、心の内を丸出しにしてお話は進んで行く。
妹背山婦女庭訓のヒロインがお三輪なのだが、お三輪までがモノローグで語り始める。
お三輪のモノローグは明朝活字を使わず、宋朝体で表現してある。
わたし歌舞伎や文楽の「妹背山婦女庭訓」は知りません。見たことないし、読んだこともない。
聞くところでは、シェイクスピアのロミオとジュリエットと同じ筋立てだとか。
それなら、大入り満員になるのも納得できる。
同じ頃、欧亜大陸の両端で、どっちの芝居小屋も同じお話しで、やんややんやと沸き立っていたのか。
10月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:4385
ナイス数:110ヒトコブラクダ層ぜっと(下) (幻冬舎単行本)の感想
崖からパラシュートで飛んで、地面を突き抜けてここは地下の下なのだ。それなのに上空には青空がみえている。インディジョーンズかハムナプトラの世界観だと思ってちょうだい。ここは異次元の世界なのだ。砂でできた兵士がいて、襲ってくる。上巻で出た得体の知れない美女がこの世界を統べている。いや、別人だ、そっくりさんだ、双子なのかもしれない。銀亀三尉がいる。女の将校で、下巻では大活躍する。ぎんがめ、ギルガメッシュから由来しているのかな。ここから脱出できるのか。脱出できるのです。それはどうやって。そこは読まなきゃ分からない
読了日:10月31日 著者:万城目学
ヒトコブラクダ層ぜっと(上)の感想
鴨川ホルモー、鹿男あをによし、の最初から、設定が規格外れで驚かされる。とうとうイラクの世界に飛び出し、シュメールの昔の世界に飛び込む。子供のころから、化石に傾注し、化石を掘り出すのが目的のお話しなのだ。榎土家の三つ子、凡天、凡地、凡人、ぼんじんではなくぼんどと読む。梵天は3秒だけ壁の向こうを見ることができ、梵地はどんな外国の言葉でも理解でき、梵人は3秒だけ先の未来が分かるのだ。得体の知れない美女に誘導されて自衛隊に入る。PKOの隊員としてイラクに派遣された。アメリカ海兵隊の護衛付きで砂漠に出た。その先は?
読了日:10月30日 著者:万城目 学
曲亭の家の感想
お路は嫁いだ。舅は曲亭馬琴、夫は腕が悪い医者なのだ。家の収入は曲亭馬琴で持っているだけに、舅の意思だけで家がまわっているのだ。舅も姑もかんしゃく持ち、夫もかんしゃくを爆発させる。里見八犬伝、馬琴一家はこの読み本の呪いにかけられているようなもんだ。身ごもった赤子が死ぬ、夫が死ぬ。馬琴は視力を失った。お路は馬琴の要求に屈して、口述筆記をすることになった。罵倒されながら、負けずに口答えしながら、やっと軌道に乗った。あれほどの大文豪の一家だ、さぞかし大成功のお話しだろう。いいえ、かなり窮屈な不幸のストーリーです。
読了日:10月27日 著者:西條奈加
スタンド・バイ・ミー 東京バンドワゴン(3) (集英社文庫)の感想
東京バンドワゴンのシリーズ、3作目です。4篇の中編小説、4番目の題名が「スタンド・バイ・ミー」わたしのお気に入りは、3番目の「研人とメリーちゃんの羊が笑う」京都の古本屋の組合に招待されます。そこで青の妻すずみが京都の長老どもに啖呵を切ります。これまで、すずみ、印象薄だったが、キャラクター爆発です。羊、これが飛び道具。いったん読み始めると、するするといつまでも読み続けて、終末まで行ってしまう。イージーリスニングという音楽がありますが、これは」イージーリーディング。くさしているんじゃないよ、誉めているんですよ
読了日:10月25日 著者:小路 幸也
にっぽんの履歴書 (文春e-book)の感想
司馬遼太郎の「この国のかたち」を読んでいるような気がします。デジャブー。過去の新聞雑誌への寄稿の短文を三つの塊に取り分けたものです。その上で、その中のどれかが塊の代表としてピックアップされています。最初の塊、「艦これ」と司馬遼太郎、日経新聞夕刊。二番目の塊、お人よしの台湾統治、書き下ろし。三番目の塊、漱石書簡の文体の秘密、河出書房新社のムック文芸別冊。著者の小説の時代について語ったり、主人公のありょうについて語ったり、読んでいるからこそしみじみと伝わってくる。大部分は自分の著作から離れて自由に語っています
読了日:10月23日 著者:門井 慶喜
本所おけら長屋 (PHP文芸文庫)の感想
書き下ろし時代文庫の長屋ものに傑作があると書評か評判で知りました。17巻まで出ている。こんなに巻数が多いということは好評なんだろうな。おけら長屋の芯は浪人の島田鉄斎なのだ。この浪人、剣は強いし、品行方正で、長屋住まいがもったいない。他の住人は人はええがだらしない、考えなしに無鉄砲に行動する。初巻を読んだだけでじゅうぶんだな。後の16巻は読まなくてもよし。おけら長屋と間違えて読んだのが「ごんげん長屋つれづれ帖」こっちのほうが出来がよろしい。長屋の芯になっているのが中年女、長屋住まいだが、近所の質屋の番頭で
読了日:10月22日 著者:畠山 健二
地中の星の感想
東京の地下鉄の創成期のお話しです。営業は、1927年(昭和2年)に浅草・上野間で始まった。そこまでの創業に至るさまざまなことがメインのお話し。早川徳治が提唱して資本を集めた。現場総監督以下坑道掘りの精鋭を集めた。現場仕事の描写が一番面白いところ。浅草から上野、さらに新橋まで延長された。会社の名前が東京地下鉄道(株)。競争相手が現れた。東京高速鉄道(株)東急の五藤慶太の会社。戦争の最中でもあり、両社は統合されて、帝都高速度交通営団=営団地下鉄となった。纏め上げたのは、鉄道省監督局鉄道課長佐藤栄作、それは初耳
読了日:10月19日 著者:門井慶喜
シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン(2) (集英社文庫)の感想
東京バンドワゴン2作目です。まだまだ続行中、16作まで出ております。語り手は、ひいじいちゃん勘一の妻、サチ、2年前に亡くなっている。あの世から見守っている。姿がないからどこにでも移動できる。四話の中編、SHE LOVES YOU.我南人の長女、藍子は、いよいよイギリス人マードックと結婚する。このシリーズ、お話しの筋がどうのこうのより、落語を聞いているような、そんなゆったり感がよろしい。もちろん、よく出来たお話しなんですよ。他愛もないことから始まって、あれよあれよとお話は複雑化して、納まるところへ納まる。
読了日:10月16日 著者:小路 幸也
刑事の慟哭 (双葉文庫)の感想
容疑者が新宿署から投身自殺した。その騒動の最中に田丸刑事は真犯人を逮捕して新宿署に護送してきた。新聞記者に囲まれた。捜査本部のメンツは丸つぶれになった。手柄を上げたが和を乱したと除け者にされている。今の事件は、宅配荷物の爆破事件、数人が死傷している。捜査本部は宅配便のドライバーを検挙して送検した。田丸刑事は独自の捜査をしている。自分は所轄、相棒は本庁、巻き添えにするわけにはいかない。信じるよ、一緒に捜査しよう。真犯人を探し出します。その捜査会議がじれったい。管理官をホンボシのほうに誘導しなければならない。
読了日:10月14日 著者:下村 敦史
東京バンドワゴンの感想
小路幸也が好みなら、「東京バンドワゴン」は外せない、のだそうです。音楽楽隊のお話しかな、読んでみると、下町の東京バンドワゴンという古本屋のお話しでした。四世代が同じ家で暮らす物語で、核家族時代に逆行した設定です。中編が四話、それぞれどうってことない些細なことからお話しが始まります。思いのほか、こんがらがっていくんですよ。落語を聞いているような、ホームドラマのシリーズを見ているような、そんな気持ちにひたれます。文庫だから巻末に解説があります。現役書店員の解説で、もう何も付け加えることはない、恐れ入りました。
読了日:10月13日 著者:小路 幸也
月下のサクラの感想
「朽ちないサクラ」に続く作品です。ヒロインは森口泉、前作では、県警事務職として奉職、警官を志願して退職、試験を受けて警官となった。ここでは、米崎県警捜査支援センター、機動分析係を希望して面接を受けるところから始まる。採用された。県警会計課で窃盗事件が起きた。約一億の現金が金庫から盗まれた。前会計課長が疑われた。その元課長は殺された。窃盗の犯人、殺人の犯人は意外な人物だった。前作でも、サクラは公安を意味していた。ここでも公安が出てくる。サクラと題名にある由縁だ。センターへ入ったばかりの新入りが大活躍するのだ
読了日:10月12日 著者:柚月裕子
嘘と感情論で封殺された5つの日本の真実の感想
著者がツィートで[さざなみ][笑笑]という表現が問題にされて内閣参与を辞任した。内容ではなく、言葉遣いを槍玉に挙げられたのだ。第1章、10月の今ではコロナの抑え込みに成功したと言える。第2章、図表が示す、新聞はあと10年で消滅する。新聞は売れなくなり、新聞社の収益源は不動産業となる。第3章、民主主義指数と一人当たりGPDの相互関係、第4章に続く。第4章、民主主義指数を上げないと一人当たりGPDは1万ドルを越えない。専制主義体制でいる限り、1万ドルは越えない、停滞する。破綻する。第五章、ここはよく分からない
読了日:10月09日 著者:高橋洋一
ごんげん長屋つれづれ帖【三】-望郷の譜 (双葉文庫)の感想
書き下ろし文庫のひとつです。四話収録してあって、四番目が望郷の譜、これがタイトルです。ごんげん長屋に住まいするお勝、近くの質屋の番頭を勤めています。しつこい浪人が刀を質入れしたい、目利きとして長屋の彦次郎を頼みます。きっぱりと鑑定して浪人を引き下がらせます。彦次郎は下総から江戸に出てきたのだ。二人とも初老、折しも子供が中年になって訪ねてきた。子供は下総に帰るように勧める。風邪をこじらせて亡くなってしまった。ま、そのようなお話し。ごんげん長屋の芯になっているのです。もちろん、質屋の番頭としても優秀なのです。
読了日:10月05日 著者:金子 成人
ごんげん長屋つれづれ帖【二】-ゆく年に (双葉文庫)の感想
書き下ろし文庫のひとつです。四篇収録表題の「ゆく年に」はその中の四番目。長屋の住人で樽を担ぐ人足仕事をしています。女房が倒れてしまった。妊娠中のさなかです。長屋のみんなは交代で世話を焼いてくれます。恩返しできねぇ、親切が荷おもになってしまいます。稼ぎ場所は霊岸島、女房に何かあった時、間に合わねぇ。お勝さん、相談です、霊岸島に近い長屋に引っ越してぇ。わたしは第二話がお気に入りです。ごんげん長屋に妾が住んでいます。本妻が乗り込んできた。妾は旦那に手切れを告げた。胸が透くねぇ。さて、これからはどうなることやら。
読了日:10月04日 著者:金子 成人
ごんげん長屋つれづれ帖【一】かみなりお勝 (双葉文庫)の感想
書き下ろし文庫のひとつ。書評だかうわさだかで、書き下ろし文庫の中に評判の物があるということで、これじゃなかろうかと目星を付けたもの。四話あって、そのひとつのタイトルが「かみなりお勝」、どんな雷か読んでみたい。理不尽なかみなりじゃない。第四話、「子は宝」お勝のところには子供が三人いる。三人ともみなしごなのだ。お勝も火事で焼け出されてみなしごで育った。子供のみなしごの事情はそれぞれ。長屋の年寄りがお勝の前で子供に告げる。お前たち、三人はきょうだいだと思うか。思います。お勝さんをおっかさんだと思うか。思います。
読了日:10月02日 著者:金子 成人
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