10月に読んだ本
10月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:4385
ナイス数:110ヒトコブラクダ層ぜっと(下) (幻冬舎単行本)の感想
崖からパラシュートで飛んで、地面を突き抜けてここは地下の下なのだ。それなのに上空には青空がみえている。インディジョーンズかハムナプトラの世界観だと思ってちょうだい。ここは異次元の世界なのだ。砂でできた兵士がいて、襲ってくる。上巻で出た得体の知れない美女がこの世界を統べている。いや、別人だ、そっくりさんだ、双子なのかもしれない。銀亀三尉がいる。女の将校で、下巻では大活躍する。ぎんがめ、ギルガメッシュから由来しているのかな。ここから脱出できるのか。脱出できるのです。それはどうやって。そこは読まなきゃ分からない
読了日:10月31日 著者:万城目学
ヒトコブラクダ層ぜっと(上)の感想
鴨川ホルモー、鹿男あをによし、の最初から、設定が規格外れで驚かされる。とうとうイラクの世界に飛び出し、シュメールの昔の世界に飛び込む。子供のころから、化石に傾注し、化石を掘り出すのが目的のお話しなのだ。榎土家の三つ子、凡天、凡地、凡人、ぼんじんではなくぼんどと読む。梵天は3秒だけ壁の向こうを見ることができ、梵地はどんな外国の言葉でも理解でき、梵人は3秒だけ先の未来が分かるのだ。得体の知れない美女に誘導されて自衛隊に入る。PKOの隊員としてイラクに派遣された。アメリカ海兵隊の護衛付きで砂漠に出た。その先は?
読了日:10月30日 著者:万城目 学
曲亭の家の感想
お路は嫁いだ。舅は曲亭馬琴、夫は腕が悪い医者なのだ。家の収入は曲亭馬琴で持っているだけに、舅の意思だけで家がまわっているのだ。舅も姑もかんしゃく持ち、夫もかんしゃくを爆発させる。里見八犬伝、馬琴一家はこの読み本の呪いにかけられているようなもんだ。身ごもった赤子が死ぬ、夫が死ぬ。馬琴は視力を失った。お路は馬琴の要求に屈して、口述筆記をすることになった。罵倒されながら、負けずに口答えしながら、やっと軌道に乗った。あれほどの大文豪の一家だ、さぞかし大成功のお話しだろう。いいえ、かなり窮屈な不幸のストーリーです。
読了日:10月27日 著者:西條奈加
スタンド・バイ・ミー 東京バンドワゴン(3) (集英社文庫)の感想
東京バンドワゴンのシリーズ、3作目です。4篇の中編小説、4番目の題名が「スタンド・バイ・ミー」わたしのお気に入りは、3番目の「研人とメリーちゃんの羊が笑う」京都の古本屋の組合に招待されます。そこで青の妻すずみが京都の長老どもに啖呵を切ります。これまで、すずみ、印象薄だったが、キャラクター爆発です。羊、これが飛び道具。いったん読み始めると、するするといつまでも読み続けて、終末まで行ってしまう。イージーリスニングという音楽がありますが、これは」イージーリーディング。くさしているんじゃないよ、誉めているんですよ
読了日:10月25日 著者:小路 幸也
にっぽんの履歴書 (文春e-book)の感想
司馬遼太郎の「この国のかたち」を読んでいるような気がします。デジャブー。過去の新聞雑誌への寄稿の短文を三つの塊に取り分けたものです。その上で、その中のどれかが塊の代表としてピックアップされています。最初の塊、「艦これ」と司馬遼太郎、日経新聞夕刊。二番目の塊、お人よしの台湾統治、書き下ろし。三番目の塊、漱石書簡の文体の秘密、河出書房新社のムック文芸別冊。著者の小説の時代について語ったり、主人公のありょうについて語ったり、読んでいるからこそしみじみと伝わってくる。大部分は自分の著作から離れて自由に語っています
読了日:10月23日 著者:門井 慶喜
本所おけら長屋 (PHP文芸文庫)の感想
書き下ろし時代文庫の長屋ものに傑作があると書評か評判で知りました。17巻まで出ている。こんなに巻数が多いということは好評なんだろうな。おけら長屋の芯は浪人の島田鉄斎なのだ。この浪人、剣は強いし、品行方正で、長屋住まいがもったいない。他の住人は人はええがだらしない、考えなしに無鉄砲に行動する。初巻を読んだだけでじゅうぶんだな。後の16巻は読まなくてもよし。おけら長屋と間違えて読んだのが「ごんげん長屋つれづれ帖」こっちのほうが出来がよろしい。長屋の芯になっているのが中年女、長屋住まいだが、近所の質屋の番頭で
読了日:10月22日 著者:畠山 健二
地中の星の感想
東京の地下鉄の創成期のお話しです。営業は、1927年(昭和2年)に浅草・上野間で始まった。そこまでの創業に至るさまざまなことがメインのお話し。早川徳治が提唱して資本を集めた。現場総監督以下坑道掘りの精鋭を集めた。現場仕事の描写が一番面白いところ。浅草から上野、さらに新橋まで延長された。会社の名前が東京地下鉄道(株)。競争相手が現れた。東京高速鉄道(株)東急の五藤慶太の会社。戦争の最中でもあり、両社は統合されて、帝都高速度交通営団=営団地下鉄となった。纏め上げたのは、鉄道省監督局鉄道課長佐藤栄作、それは初耳
読了日:10月19日 著者:門井慶喜
シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン(2) (集英社文庫)の感想
東京バンドワゴン2作目です。まだまだ続行中、16作まで出ております。語り手は、ひいじいちゃん勘一の妻、サチ、2年前に亡くなっている。あの世から見守っている。姿がないからどこにでも移動できる。四話の中編、SHE LOVES YOU.我南人の長女、藍子は、いよいよイギリス人マードックと結婚する。このシリーズ、お話しの筋がどうのこうのより、落語を聞いているような、そんなゆったり感がよろしい。もちろん、よく出来たお話しなんですよ。他愛もないことから始まって、あれよあれよとお話は複雑化して、納まるところへ納まる。
読了日:10月16日 著者:小路 幸也
刑事の慟哭 (双葉文庫)の感想
容疑者が新宿署から投身自殺した。その騒動の最中に田丸刑事は真犯人を逮捕して新宿署に護送してきた。新聞記者に囲まれた。捜査本部のメンツは丸つぶれになった。手柄を上げたが和を乱したと除け者にされている。今の事件は、宅配荷物の爆破事件、数人が死傷している。捜査本部は宅配便のドライバーを検挙して送検した。田丸刑事は独自の捜査をしている。自分は所轄、相棒は本庁、巻き添えにするわけにはいかない。信じるよ、一緒に捜査しよう。真犯人を探し出します。その捜査会議がじれったい。管理官をホンボシのほうに誘導しなければならない。
読了日:10月14日 著者:下村 敦史
東京バンドワゴンの感想
小路幸也が好みなら、「東京バンドワゴン」は外せない、のだそうです。音楽楽隊のお話しかな、読んでみると、下町の東京バンドワゴンという古本屋のお話しでした。四世代が同じ家で暮らす物語で、核家族時代に逆行した設定です。中編が四話、それぞれどうってことない些細なことからお話しが始まります。思いのほか、こんがらがっていくんですよ。落語を聞いているような、ホームドラマのシリーズを見ているような、そんな気持ちにひたれます。文庫だから巻末に解説があります。現役書店員の解説で、もう何も付け加えることはない、恐れ入りました。
読了日:10月13日 著者:小路 幸也
月下のサクラの感想
「朽ちないサクラ」に続く作品です。ヒロインは森口泉、前作では、県警事務職として奉職、警官を志願して退職、試験を受けて警官となった。ここでは、米崎県警捜査支援センター、機動分析係を希望して面接を受けるところから始まる。採用された。県警会計課で窃盗事件が起きた。約一億の現金が金庫から盗まれた。前会計課長が疑われた。その元課長は殺された。窃盗の犯人、殺人の犯人は意外な人物だった。前作でも、サクラは公安を意味していた。ここでも公安が出てくる。サクラと題名にある由縁だ。センターへ入ったばかりの新入りが大活躍するのだ
読了日:10月12日 著者:柚月裕子
嘘と感情論で封殺された5つの日本の真実の感想
著者がツィートで[さざなみ][笑笑]という表現が問題にされて内閣参与を辞任した。内容ではなく、言葉遣いを槍玉に挙げられたのだ。第1章、10月の今ではコロナの抑え込みに成功したと言える。第2章、図表が示す、新聞はあと10年で消滅する。新聞は売れなくなり、新聞社の収益源は不動産業となる。第3章、民主主義指数と一人当たりGPDの相互関係、第4章に続く。第4章、民主主義指数を上げないと一人当たりGPDは1万ドルを越えない。専制主義体制でいる限り、1万ドルは越えない、停滞する。破綻する。第五章、ここはよく分からない
読了日:10月09日 著者:高橋洋一
ごんげん長屋つれづれ帖【三】-望郷の譜 (双葉文庫)の感想
書き下ろし文庫のひとつです。四話収録してあって、四番目が望郷の譜、これがタイトルです。ごんげん長屋に住まいするお勝、近くの質屋の番頭を勤めています。しつこい浪人が刀を質入れしたい、目利きとして長屋の彦次郎を頼みます。きっぱりと鑑定して浪人を引き下がらせます。彦次郎は下総から江戸に出てきたのだ。二人とも初老、折しも子供が中年になって訪ねてきた。子供は下総に帰るように勧める。風邪をこじらせて亡くなってしまった。ま、そのようなお話し。ごんげん長屋の芯になっているのです。もちろん、質屋の番頭としても優秀なのです。
読了日:10月05日 著者:金子 成人
ごんげん長屋つれづれ帖【二】-ゆく年に (双葉文庫)の感想
書き下ろし文庫のひとつです。四篇収録表題の「ゆく年に」はその中の四番目。長屋の住人で樽を担ぐ人足仕事をしています。女房が倒れてしまった。妊娠中のさなかです。長屋のみんなは交代で世話を焼いてくれます。恩返しできねぇ、親切が荷おもになってしまいます。稼ぎ場所は霊岸島、女房に何かあった時、間に合わねぇ。お勝さん、相談です、霊岸島に近い長屋に引っ越してぇ。わたしは第二話がお気に入りです。ごんげん長屋に妾が住んでいます。本妻が乗り込んできた。妾は旦那に手切れを告げた。胸が透くねぇ。さて、これからはどうなることやら。
読了日:10月04日 著者:金子 成人
ごんげん長屋つれづれ帖【一】かみなりお勝 (双葉文庫)の感想
書き下ろし文庫のひとつ。書評だかうわさだかで、書き下ろし文庫の中に評判の物があるということで、これじゃなかろうかと目星を付けたもの。四話あって、そのひとつのタイトルが「かみなりお勝」、どんな雷か読んでみたい。理不尽なかみなりじゃない。第四話、「子は宝」お勝のところには子供が三人いる。三人ともみなしごなのだ。お勝も火事で焼け出されてみなしごで育った。子供のみなしごの事情はそれぞれ。長屋の年寄りがお勝の前で子供に告げる。お前たち、三人はきょうだいだと思うか。思います。お勝さんをおっかさんだと思うか。思います。
読了日:10月02日 著者:金子 成人
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