吾妻おもかげ
「吾妻おもかげ」梶よう子 角川書店
吉兵衛は安房の縫箔屋の息子だ。
縫箔、刺繍修行に江戸に出た。
仕送りはたっぷりあるが、みな吉原につぎ込んでしまう。
絵については腕に覚えがあるのだ。
狩野派の門に入門の願いをした。手ひどく断られた。
それからは吉原に沈み込んで放蕩を尽くす。
版元に頼み込んで絵草紙を始める。
次第に評判を上げ、菱川師宣という雅号で売り出す。
工房を構え、分業体制で絵をさばく。
いつのまにか、狩野派の体制と同じことをやっている。
この先、破綻するバッドエンドを予想するでしょ。
そう、その泥沼にはまります。
気が付いて、気を取り直し、大団円のハッピーエンドに向かいます。
宝井其角、芭蕉の門人、俳諧集「虚栗」に
「山城の吉弥結びも松にこそ菱川やうの吾妻おもかげ」
小説の題名はここに懸けてあるのだが、木に竹を繋いだようで、あまり効果的ではない。
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