2月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3127
ナイス数:59
増山超能力師大戦争 (文春文庫)の感想
血まみれ誉田と爽やか誉田の二系列、緩やか誉田の系列もある。それが「増山超能力師」のシリーズです。前作に「増山超能力師事務所」がある。それは短編集。本編は本気で書いた長編だ。会社員が失踪した。その調査を依頼される。技術者で、超能力を検出する器具を開発中だった。中国人が中国軍の依頼で拉致したものだった。最終章で大転換がある。超能力師にも主流派・反主流派がある。その作用で事態が複雑化したものだった。内容はシリアス、展開は喜劇かファルスか、緩やかなもんです。血まみれ誉田の比重を下げて、緩やか誉田のウェイトを増せば
読了日:02月26日 著者:誉田 哲也
「影の首相」官房長官の閻魔帳 政権を左右する権力の光と闇の感想
平成令和の歴代の官房長官30人を五段階評価しています。☆五つは梶山清六だけ。☆ゼロは河野洋平だけ。中には、そんな官房長官いたかな。わたしの記憶に残っていない人物もいます。菅義偉は優秀な官房長官だったが、自分の官房長官には菅義偉を起用できなかった。著者は産経新聞の記者、現役の記者から執行役員論説委員長に登り詰めています。昔は、渡辺恒雄、細川隆元などの記者を越えた記者もいました。最近は名物記者はテレビ局記者に奪われてしまって、紙媒体はあきまへんなぁ。出版社はビジネス社、反中本、嫌韓本で鳴らしている出版社です。
読了日:02月23日 著者:乾 正人
ワトソン力(りょく)の感想
ワトソンとは、シャーロック・ホームズの相棒ワトソンのことだ。主人公は警視庁捜査一課の和戸宋志、彼がいると周囲の推理が活発化し、検挙率十割を誇っている。和戸はこの作用をワトソン力と呼んでいる。この小説はえらくクラシックなのだ。密室もの、アリバイ崩し、どれもこれもスタイルが古い。甚だしきは、アメリカへ渡る旅客機内で殺人事件が起きている。究極の密室だ。わたしが思うには、松本清張以来、探偵小説は推理小説に進化してしまった。動機、事件の背景、これが小説の主眼になってきた。これではわくわくするようなものにはなりません
読了日:02月21日 著者:大山 誠一郎
なぜ戒名を自分でつけてもいいのか (サンガ新書)の感想
サブタイトルは、ブッダの教えから戒名を考える。世間では戒名は寺から付けてもらうものだと考えています。いいえ、戒名はなくてもええのです。自由戒名で自分でつけてもええのです。とは言っていますが、寺の怒りを買って、檀家を追放されるかもしれません。問題がないのは、ペットの戒名をつけるだけ、もちろん、寺を介さず自分でつけます。著者は東京工業大学の教授、理論的に言えばこういうことだと言っているだけです。僧侶がこういう本を書いたら結論はこのようにはならないはずです。理論と現実は違うものです。よぅく考えて行動しましょう。
読了日:02月19日 著者:橋爪大三郎
ドンナ ビアンカ(新潮文庫)の感想
主要人物は三人、越田酒店の配達人村瀬、キャバクラの瑤子(楊白瑤)、外食チェーンの専務副島。現在進行形のストーリーではなく、日にちが戻ったり進んだりのストーリーで把握に難儀する。誘拐事件が発生する。専務と店長が誘拐されて、二千万要求する事件が発生する。瑤子は専務副島の愛人、副島の要求で村瀬は瑤子と偽装結婚させられる。あくまで偽装、夫婦は共に暮らしてはいない。誘拐事件の顛末は、読むに耐えない。読まないほうをお勧めする。誉田哲也の血まみれ誉田の側面が出ている。ドンナビアンカとはイタリア語で白夫人、マダムホワイト
読了日:02月17日 著者:誉田 哲也
サンセット・サンライズの感想
コロナでテレワークが始まって、西尾晋作は岩手県に近い宮城県北の宇田浜に移った。魚が釣れるからだ。本人は魚釣りが趣味なのだ。物件を発見した。東日本震災で一家が災害に遭って、それ以来未居住なのだ。家主は町役場勤務、空き家対策を担当している。父親は漁師。隣のおばあちゃんが亡くなって、空き家をどうするか、の相談に乗る。晋作の勤務先は大企業、テレワークの移住先として会社に提案した。意外にも取り上げられて、空き家借り上げが推進されることになった。お話しはとんとん拍子に進んで行く。晋作本人は思いがけない身の振り方を選択
読了日:02月16日 著者:楡周平
特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来の感想
第20回(去年)「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作品です。弁理士・大鳳未来と弁護士・桃愁林は共同でミスルトウ特許法律事務所を運営している。今回は特許権を犯していると警告が来た件だ。モノの特許権なら理解がし易いが、この件では撮影技法が特許になっている。ユウチューブで、いかにビューを勝ち取り、ライバルを蹴落とすか、これが焦点なのだ。特許権者がいて、使用権獲得者がいて、争うべき対象者がいる。訴訟に持ち込むか、訴訟前の和解に持ち込むか、特許の不成立を争うか。そこはこの小説のキモだから語らない。結果は完全勝利
読了日:02月09日 著者:南原詠
歌舞伎町ゲノム (中公文庫)の感想
歌舞伎町セブン、彼らは現代版の必殺仕事人だと思ってちょうだい。警察裁判所も及ばない悪人に天誅を下す、そういう仕事なんです。歌舞伎町セブンのメンバーは、現役の警察官あり、やくざの組長あり、先代のセブンの生き残りあり、多彩です。前作「硝子の太陽Nーノワール」でメンバーの一人が殺された。新しく掃除屋(死体の処理も含む)がメンバーに加わった。公序良俗に反するお話しなんですよ。セブンのメンバーもターゲットも読むに耐えない描写がある。その点、必殺仕事人なら絵空事として読み流せる。現実の続きで架空のお話しと読み流せない
読了日:02月07日 著者:誉田哲也
日本語はこわくないの感想
月間誌PHPに「なるほど!日本語術」のタイトルで連載したものです。別に、日本語は怖い、という問い合わせに答えたものじゃありません。第1章 敬う日本語ー敬語だって変化する 第2章 書き分けたい日本語ールールはあるけど 第3章 似ている日本語ーどこか違うらしい 第4章 こわくない日本語ー正しさはあなたが決める 第4章の中身は 「ら抜きことば」を見分けるには? 「全然」の下は肯定も否定も「アリ」 なんでも1個、数え方は単純化する? ことばを重ねた重言、楽に考えよう 「普通においしい」って、どんな意味? 以下省略
読了日:02月06日 著者:飯間 浩明
「違和感」の日本史 (産経セレクト S 22)の感想
産経新聞のコラム、「本郷和人の日本史ナナメ読み」から収録したものです。真っ向から、史談とか、歴史研究というのではなく、炉辺談話とか講演の語り口のようなお話しが続きます。語り口は柔らかですが、歴史家にケンカを売っています。教科書を書き換えたほどの歴史解釈の変更について、違うでしょ、と異議を唱えています。学者の世界で、主流派、傍流派に分けると、傍流派なのかな、と見立てたくなります。なんぼエッセイでも、弱みを見せてはいけません。正直すぎるお人だなぁ、と愛でたくなります。再読の本でした。
読了日:02月04日 著者:本郷 和人
三河雑兵心得(7)-伊賀越仁義 (双葉文庫)の感想
植田茂兵衛の戦国出世物語です。本能寺の変に立ち会って、主君徳川家康に急報に向かう。枚方で出会った。三河に戻る道は伊賀を通る道に決めた。茂兵衛と本多平八郎は殿軍を引き受けることになった。穴山梅雪の最後を見届けたり、落武者狩りを撃退したり、オオゴトだった。伊賀の柘植で家康一行に追いついた。浜松に帰って、甲斐信濃は無主の土地、接収することにする。服部半蔵の汚い働きを見たが、こういうこともあるよなぁ。認めるところもあった。次作は、小牧長久手の戦だそうな。番方・役方に分けると、非軍事では役立たず、番方の男なのだなぁ
読了日:02月01日 著者:井原 忠政
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