5月に読んだ本
5月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2418
ナイス数:75事件持ち (角川書店単行本)の感想
著者の前職は新聞記者です。これは警察回り新聞記者の物語です。連続殺人事件が起きます。抜いた、抜かれた、新聞記者間で特ダネ競争があります。一番悲惨なのが特オチ、辞表に近いものがあります。ここでは独材という術語がさかんに出てきます。独自取材の短縮形です。独材をまだ一本も出していない新人は嘲笑の対象のようです。事件持ちとはなんぞや、転勤先のそこそこで大事件にぶち当たることだそうです。警察でも同じ、赴任する先々で大ネタにぶつかる刑事の事です。わたし、ほんとは新聞記者ものは好きじゃない。好きでもないのに読んでしまう
読了日:05月31日 著者:伊兼 源太郎
沈黙の終わり(下)の感想
東日の新聞記者で、定年間近の松島と、若手記者の古川、ある事件でタイアップしている。千葉県、埼玉県の県境で江戸川沿い、ここ30年で何人もの女の子の児童が、行方不明になったり、殺されたりしている。警察では上からの圧力で捜査に手を抜くように指図が来ている。命令ではないが空気が醸し出されている。上意下達だから大多数が従うが、反発する良心派もいる。当時、捜査二課長だったキャリアの倉橋が浮かび上がる。今は首相官邸の筆頭秘書官にいる。自殺した野田署長のメモが良心派の手によって松島に届けられた。記事になった。警察の怠慢は
読了日:05月30日 著者:堂場瞬一
沈黙の終わり(上) (角川春樹事務所)の感想
松島慶太、定年間際で編集委員を下りて、千葉親支局の柏支局長に就く。古川孝弘、四年目か五年目の新人、埼玉支局在勤で、本社社会部に転勤予定なのだ。千葉県野田署管内で、小学生低学年女児の行方不明殺人事件が起きた。古川は、ここ30何年で何人もの女子児童が行方不明・殺人に遭っているのを探り出す。それを松島に相談する。県境の向こうのことは県警でも視野に入ってこないのだ。新聞社も同じ、支局の外のことは興味が薄れてくる。埼玉支局、千葉支局の合同で、一面記事にした。反響は大きく、野田署長が自殺するほど県警は打ちのめされた。
読了日:05月29日 著者:堂場瞬一
チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学の感想
サブタイトルが、アングラ経済の人類学。わたし、2001年から2013年まで飛び飛び6年、12座の香港の山に登ってきました。後半の宿泊ホテルは帝國飯店(ホテル)、名前は凄いが安宿です。香港MTRの駅は尖沙咀、帝國飯店の数軒隣がチョンキンマンションです。銘板は重慶大厦と出ています。道端で黒人が大勢、チラシを配っています。その黒人たちのボスがこの本の主人公なんだな。名前はカラマ、東アフリカと香港を結ぶブローカーなのだ。商品は自動車、自動車部品、カラマが最初に香港の仕入れ先を開発して東アフリカに販路を開いたのだ。
読了日:05月22日 著者:小川 さやか
ひゃっか! 全国高校生花いけバトルの感想
今村翔吾の時代小説がすばらしかったので手に取ってみました。凄い、この人、抜群のストーリーテラーだ。お話しは、全国高校生生花いけバトル、そのまんまのお話しです。ヒロインは大塚春乃、高校二年生、華道同好会を開いて今は部員ひとりだけ。いずれは同好会から正式の部への昇格を目指している。全国高校生花いけバトルというのがある。そこに出場して優勝を目指している。ひとり入部希望者がいる。山城貴音。男の子で大衆演劇の現役の役者なのだ。八代目彦弥。くすぐりもあって、手に汗握る場面もあって、達者なのは時代小説だけではないのだな
読了日:05月14日 著者:今村翔吾
農家の嫁の事件簿 描き下ろしの感想
この本、ブログ記事を採録したものです。イラスト・語り口には覚えがあります。前作があって、「こちら北国、山の中、農家の嫁の事件簿」2006年刊。この本は2010年刊行、最初の頃からブログは読み続けていました。東日本大震災が2011年、そのころからブログに精彩がなくなりました。ツィッターかフェイスブックに掲載媒体を乗り換えました。わたしは両社とも契約していないので離れました。12年前の本ですが、なんと懐かしい。かってのブログに再会した気分です。イラストが秀逸。観察が真っ直ぐ。語り口は普段着のまま。ええねぇ。
読了日:05月06日 著者:三上 亜希子
ストレンジャー・イン・パラダイスの感想
いかにも小路幸也のお話しだなぁの作品です。阿形県賀条郡日田町晴太多、ここへ他所ものが集まってくる集めよう、というお話しです。町村合併する前は晴太多も町だった。今は老人ばかりで過疎化へ真っ最中。町当局もテコ入れを図っています。それに応じて、東京のベンチャー企業がサテライトオフィスを空き家をリホームして進出した。晴太多の出身で、離婚してアラサーの女二人が晴太多に帰ってくる。ぽつぽつと、わけありの人々が晴太多に来る。ベンチャー企業の肝いりで希望が広がってくる。ストレンジャーとは訳ありの人。パラダイスとは晴太多。
読了日:05月05日 著者:小路 幸也
幸村を討て (単行本)の感想
織田有楽斎、南条弥之三郎、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永、それぞれのエピソードが並びます。有名武将は解説するには及ばず、無名武将では、南条弥之三郎は尼子の流れ、忍びの鉢屋党を率いる。毛利勝永はもともとは姓は森、秀吉の思い付きで毛利となった。最後の篇は、徳川家康と本多佐渡守と真田信之の対決。真田家の兄は真田信之、弟は真田信繁、大坂入場時から幸村と改名。真田の家名を残すため、徳川方豊臣方に分かれたのだ。対決は読んでいても手に汗を握ります。幸村を討てぇ、このフレーズが効き目を表します。そういう伏線だったのかい。
読了日:05月04日 著者:今村 翔吾
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