5月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3775
ナイス数:103
ブラッディ・ファミリー (新潮文庫)の感想
黒滝は警視庁警務部人事一課担当、上司は相馬美貴、キャリアなのだ。対象は伊豆倉陽一、どうしょうもないゴンゾウで、どこの課でも持て余している。とはいうのも、父親が伊豆倉伴憲、警察庁次長で次期警察庁長官を約束されているのだ。息子に取り入って恩を売る。探査を続けているうち、伊豆倉陽一は所在不明になる。警務部長の白幡が手を伸ばしてくる。伊豆倉が失脚するのが望みなのだ。予定調和通りにお話が進んで行く。勧善懲悪でめでたしめでたしなんですよ。白幡部長が山形本部長だったころ、私兵として手に入れた元刑事がええ味を出している。
読了日:05月31日 著者:深町 秋生
焼け野の雉の感想
前作に、「ことり屋おけい探鳥草紙」があります。過去ログを探ってみたら、7年前に読んでいました。この巻では、火事で焼け出されてしまいます。お救い小屋に収容されたのがめっけもの、それでもいがみあいはあります。前の亭主に復縁を願われたり、八丁堀同心に心ゆらいだり。たぶん、女一人で生きていくんでしょうね。八丁堀同心の永瀬八重蔵、妻が盗賊に殺された。娘結衣はその場にいて、それ以来声が出せなくなった。その声を取り戻すことがサブストーリーです。伏線は全部回収されました。ことり屋おけいの三作目はもうないだろうと思います。
読了日:05月28日 著者:梶 よう子
とりどりみどりの感想
廻船問屋飛鷹屋の兄弟姉妹たち。父親鳶右衛門は船に乗って出ていき、年に一度くらい家に戻ってくる。長兄の鵜之介が店を仕切り、長姉のお瀬己、次姉のお日和、三女のお喜路、末っ子の鷺之介。ストーリーテラーは鷺之介、十歳そこそこでまだまだ子供盛り。三人の姉はわがままで乱費生活を続けている。五人の母親はそれぞれ違う。鳶右衛門の男の甲斐性で外に子供を作ったのだ。母親お七は十年前に亡くなったのだ。七編の短編なのだ。連作短編。最後の二篇は前編後編の体裁になっている。鷺之介の出生の秘密が最後の二篇に集中していて、そこはネタバレ
読了日:05月25日 著者:西條奈加
ザ・ミッション THE MISSIONの感想
三上は大手食品会社にいる。傘下に横浜パイレーツがある。そこの広報に赴任を命じられた。石岡の専属広報を命じられた。ところが石岡は極めてわがままでチームメイトにも溶け込もうとしない。日本の球団は一年契約で、リハビリ後、メジャーに復活する気であると分かった。ただ、不思議にも、二軍のジャスティスに個人的なコーチをしているのだ。一軍の試合が終わったあと、二軍の宿舎の練習場で付きっ切りで面倒を見ているのだ。この伏線は最後に回収されます。わがままな野球選手のお話がええ話にすげ変わります。そこは読んでみなきゃ、そこがお話
読了日:05月23日 著者:堂場 瞬一
探偵は田園をゆくの感想
前作は「探偵は女手ひとつ」のシリーズです。前作は短編集、これは長編。息子がいなくなったと依頼があった。久しぶりの探偵仕事だ。どうやら息子め、山形県西置市のすこやかパッケージに目を付けたものらしい。小学校新一年生に市から配るパッケージなのだ。手繰って行くうち、埼玉から来た地域おこし協力隊員で、そこに当たりを付けた。市に食い込んで、次の市会議員に立候補する動きも見せている。捜索の差し止めの手が入る。暴力の手です。探偵は山形市住まい、ここは西置市、どうやら、西置賜郡の西というと、鶴岡市あたりを想定しているみたい
読了日:05月20日 著者:深町 秋生
PIT 特殊心理捜査班・水無月玲 (光文社文庫)の感想
もともと技術職で警視庁に入ったのだ。ビッグデータ業界で有名でスカウトの形で警察に入ったのだ。蒼井俊は転勤を命じられた。配属先はPIT、プロファイリングを扱う部署なのだ。班長は水無月玲、強力な引き抜きで蒼井俊を得たのだ。いま、都内では若い女の子の惨殺死体が連続して2件ある。3件目が発生するのを阻止しなければならない。同じような犯行で刑事が殺された。素行の悪い刑事で身から出た錆かもしれない。ビッグデータ処理の方法は次第に威力を発揮してきている。プロファイリングのほうは役立っているのかどうかかなり疑問だ。
読了日:05月18日 著者:五十嵐 貴久
風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖の感想
シリーズです。縫箔屋の一人娘、おちえの物語です。縫箔屋とは、着物に刺繍したり、スパンコールを刺したり、そういう装飾の仕事です。針でちくちくと布を縫っていく、これも修行、別の修行もしています、町道場に通って、大した腕なのです。[桐唐草入珊瑚玉模様][檜扇舞風模様][吉祥模様][再びの桐唐草入珊瑚玉模様]四話になっていますが一連のお話です。四話を通しての小道具は、他愛もないものが盗まれること。おちえの寝間の枕もとの竹刀が盗まれます。伏線は最後に収束します。へぇぇ、そういうお話だったのかい。第一作目を読まずにシ
読了日:05月17日 著者:あさの あつこ
脱北航路の感想
主人公は北朝鮮の潜水艦艦長です。金王朝に絶望し、亡命を志します。乗組員の多くが賛同します。拉致被害者の広野珠代を連れ去った。一緒に日本に帰り、同時に日本からの攻撃を避ける盾でもある。亡命宣言を発した。拉致被害者の広野珠代も乗り組んでいると全世界に宣言する。当然、北朝鮮の潜水艦が撃沈に向かってくる。日本政府は北朝鮮政府の核ミサイル攻撃を恐れて日和見なのだ。漁船群が救助に向かう。政府は民意に押し切られた。潜水艦の操船の描写が続きます。「レッドオクトーバーを追え」類似の小説はこれくらいかな。なかなかのものだよ。
読了日:05月15日 著者:月村 了衛
月の王の感想
ここは上海、時代は日中戦争の前。駆け落ちした華族の娘がフランスから帰ってくる。その娘は皇室の係累なのだ。争奪戦が始まる。日本の特務機関、木之内機関が追っている。そこへ大神明が現れた。天皇家から派遣されたということだ。国民党に雇われた藍衣社、それを率いる杜龍と四天王が立ちはだかる。持統天皇のころ、大神明は天皇家を保護することを約束した。大神明はその時代から生き続けている。当時愛していた雪が転生して、李麗雪としてここにいる。天には、日の王、月の王、火の王、水の王がいた。大神明は月の王の末裔、火の王の末裔が杜龍
読了日:05月09日 著者:馳 星周
香港警察東京分室の感想
香港でキャサリン・ユーという人物が姿を消した。九龍塘城市大学の元教授で、虞嘉玲。組対部特殊共助係という組織を作って、日本香港それぞれ五人づつで立ち上げた。香港の人名が分かりにくい。漢字三文字の中国名がある、合わせてイングリッシュネームも使っている。最初に登場人物名の表があるが、それと照合しながら読み進めていく。もちろん、香港警察は中南海の意向に従っている。キャサリン・ユーも民主開明の人物だとは限らない。半グレ集団のサーダーンと香港の黒社会、黒指安とが銃撃戦を始める。香港の共産化、それに対する抵抗が日本でも
読了日:05月04日 著者:月村 了衛
高く翔べ-快商・紀伊國屋文左衛門 (単行本)の感想
紀伊国屋文左衛門の一代記です。材木屋のはずなんだが、みかんで大当たりした。♪沖の暗いのに白帆が見える、あれは紀の国みかん船♪当時のCMです、SNSです。奈良屋とさや当てして、お互いにイケズのしあいっこを繰り返す。この本を読む前は、紀伊国屋が豪商になって、没落した、この程度の知識でした。柳沢側用人、荻原勘定奉行の政策はインフレ策、高度成長政策だった。行き詰まりの気配がする。文左衛門は対策を取った。会社整理、店を畳んで奉公人に分配した。あれぇ、わたしの記憶では破産して、路頭に迷うはずだったが。これは小説だから
読了日:05月03日 著者:吉川 永青
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