藩邸差配役日日控
「藩邸差配役日日控」砂原浩太朗 文芸春秋
「高瀬庄左エ門お留書」や「黛家の兄弟」と同様に、海山藩でのことだと思って読み始めました。
違った、神宮寺藩七万石、江戸藩邸のことと書いてある。
主人公は里村五郎兵衛、差配役を勤めている。
オール読物連載の短編で五篇。
差配役とは会社でいえば総務、いろんな事件が巻き起こります。
若君が一晩行方不明になったり、江戸家老と留守居役の派閥争いがあったり、台所にベッピンの女中を雇って男どもが騒いだり、奥方様の猫が行方不明になったり、江戸家老と留守居役との政争がさらに激しくなったり、差配役の日常にしてはいささか激しすぎるものがあります。
短編一篇一篇に何気なく書き添えてあるものが、長編全編では伏線となって効いてきます。
連作短編、そのままで、長編となる、教科書のような作りです。
« 徳川家康 弱者の戦略 | トップページ | いまわのきよしろう »
コメント