1月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:4895
ナイス数:148
交渉人・遠野麻衣子 ゼロの感想
交渉人・遠野麻衣子が誕生する篇です。石田警視は犯人との交渉人を引き受けている。組織だって行おうと警視庁内部で8人が選抜された。研修が始まる。任に非ずと一人、さらに二人と退室が命じられた。石田警視としても、研修を主宰すると同時に捜査の現業もある。世田谷グループの特殊詐欺が大詰めに差し掛かっている。特殊詐欺から資産家を狙っての強盗犯に変質しつつある。常に水揚げを上げないと傘下の受け子などのグループが四散してしまうのだ。次の犯行は間近い。研修中の交渉人候補を捜査に投入することにした。ここから中締めを掴み、親玉に
読了日:01月30日 著者:五十嵐 貴久
SUPERサイエンス 縄文時代驚異の科学の感想
へぇ、そうかい、それはびっくりした、そういうことはありません。著者は名古屋工業大学名誉教授、有機化学を主に研究してきました。縄文時代とどこに接点があるんでしょうかね。出版社と名誉教授との人間関係からの冠なんでしょうね。各章を分担して執筆したのは、おそらく、大学院の助教研究員クラス、または、各地の教育委員会の学芸員若手クラスなんでしょうね。本の体裁は、ムック(マガジン+ブック)の小型版となっています。それぞれの章はまとまっていますが、これは発見だ、大したものなんだ、との肉声は聞こえてきません。
読了日:01月28日 著者:齋藤勝裕
はじめから国宝、なんてないのだ。 感性をひらいて日本美術を鑑賞するの感想
デジタル復元師と名乗っている。芸大を出て、大手出版社に入社した。そこからはデジタルの道に進む。後に会社を創り、小林美術科学の社長。古美術が色褪せなどで劣化するのを誕生当時の作品などに復元させている。もちろん現物を復元させるのではなく、レプリカを作成している。著者の提唱「当時の色彩を当時の人々と同じような環境で鑑賞する」明るいライトではなく、ろうそくの光で鑑賞すること。六曲二双の屏風なら、屏風を立てて身の回りに巡らせて鑑賞する。これを、国宝をべたべたさわろう、と提唱している。もちろん、心得を説いているわけで
読了日:01月27日 著者:小林泰三
東家の四兄弟の感想
東はあずまと読みます。長男朔太郎、九州大学の理系の助手。次男真二郎、父の跡を継いで易者。三男勇三郎、倉庫会社で働いている。四男恭史郎、大学生水商売でアルバイト。父は易の世界ではそこそこの権威、崇拝者は多い。筆致が淡々としているので、血沸き肉躍る感じではなく、遠くから眺めながら小説を読んでいる感じ。なんにも事件がないわけじゃないですよ。三男は上司が交代してストレスが高じて、九州の長男のところに行ったり。父親が歩道橋の階段から落ちて入院したり。事件はあります。でも全般に日常茶飯事じゃん。平和な一家のくらしが続
読了日:01月26日 著者:瀧羽麻子
名探偵外来 泌尿器科医の事件簿の感想
泌尿器科医鮎川 MSW(Medical Social Worker)忍 看護師長大神 中編4篇なんですが、この三人が活躍します。泌尿器科医は同窓会でもチンコ医者と軽んじられる。MSWとは医療資格ではない、病院サポート業務。師長はヤングの頃、暴走族の総長だった。その片鱗が今でもチラチラする。[僕の体には呼べない一部がある]ネットで嘘を教える医者。[膀胱彷徨]教育ママ過ぎて息子にストレスを与える。[或る崇拝者の最後]チンコが腐る、怖くて途中で読むのを放棄しました。[予算の都合で死ね]ユウチューバーが病院を襲撃
読了日:01月24日 著者:似鳥 鶏
三河雑兵心得 【十三】-奥州仁義 (双葉文庫 い 56-14)の感想
茂兵衛、苦労の末、三千石の領地を得た。駿府の城から江戸へと茂兵衛も引越しせにゃならん。秀吉が天下総無事令を発した。東北の奥で一揆が起きた。その鎮撫を命じられた。茂兵衛よ、お前が行ってくれ。ただし、奥州の国衆に恨みを残すな。ほどほどに戦ってお茶を濁せ。とてもとても、カタチだけの戦などでき申さぬ。精一杯戦わねばこっちが危ない。なんとか鎮撫に成功しました。もうこの先、戦は関ケ原、大阪冬の陣夏の陣しか残っていません。小牧長久手の戦いから6巻を経ています。歴史の大通りから離れた裏通り・横町の戦いばかりに参戦していま
読了日:01月21日 著者:井原 忠政
国会話法の正体 政界に巣くう怪しいレトリックの感想
記憶にございません 遺憾である 真摯に受け止める 不徳の致すところ 誤解を招いたとすれば問題だ 批判にはあたらない 仮定の話にはお答えできない 詳細は承知していない お答えを差し控えさせていただきます 丁寧に説明していきたい あってはならないこと 列挙するのをもうやめます。著者の職業は放送作家で、政治関係者ではありません。フレーズの一つ一つについて食い下がって掘り込んでいます。でも、政治家のぬけぬけと吐くフレーズに接すると、伝わってくるものはあります。本気で読めば腹が立ちますが、肩のちからを抜いて読んでい
読了日:01月19日 著者:藤井 青銅
すべての神様の十月 (PHP文芸文庫)の感想
神様にも二種類あって、表通りの神様と裏通りの神様があります。[幸せな死神][貧乏神の災難][疫病神が微笑む][動かない道祖神][ひとりの九十九神][福の神の幸せ]短編集です。どの篇も、どこかの人間が神様に出会うお話しです。助けてもらうお話しです。死神だって貧乏神だって疫病神だって助けてくれます。それはね、小路幸也が物語を書くから。小路幸也はハッピーエンドのお話しだけ書きます。この本には書いていないけどね、すべての神様の十月とは神無月のことです。出雲においては神在月のことです。ここの神々は出雲に招かれるかな
読了日:01月18日 著者:小路 幸也
プリンシパルの感想
終戦に、ヤクザの水嶽(みたけ)本家の親分、水嶽玄太は亡くなった。水嶽商事(株)と表の看板は掲げている。水嶽綾女は女学校教師の身分だが、水嶽商事(株)の会長兼社長を引き受けることになった。長兄の水嶽鱗太郎がシベリアから復員するまで預かろう。戦後のヤクザは水嶽商事が席巻した。GHQとも結んだ。公設市場=マーケットを作り、競輪・競艇を始めて実権を握った。長兄の水嶽鱗太郎が復員して、会長兼社長に就任した。ヘタという声が上がって、鱗太郎が綾女を襲撃し、返り討ちになった。プリンシパルとは主役、表紙にはバレーの主役の絵
読了日:01月17日 著者:長浦 京
月夜に溺れる (光文社文庫 な 52-1)の感想
わたしは真下霧生、神奈川県警本部の生安にいる。離婚二回、それぞれの夫との間に一人づつの子供がいる。どっちの夫も警部。遊佐龍太、伊地知知明。イケメンに弱いのだ、多情な女なのだ。登場人物は上手に作り込まれているんですよ。見取り図・間取り図・地図が登場する。密室ものが好きですねぇ。松本清張以前以後の、探偵小説から推理小説へ、その動きから逆行していませんか。警察側のキャラ建ては成功しています。犯人側のキャラがいまいち迫ってこない。首題の事件、話しの起こりは援助交際ですよねぇ。そこから始まって、殺しに至った、そんな
読了日:01月14日 著者:長沢樹
互換性の王子の感想
清涼飲料乳酸菌業界の巨頭の会社は東京ラクト。東京ラクトを退社した志賀英雄は乳酸菌の会社を興した、シガピオという会社。息子に成功(なるとし)がいる。気が付くと別荘の地下室に幽閉されていた。半年後に解放された。会社に帰ると、異母兄の実行(さねゆき)が事業部長のポストに座っていた。一度は辞めたんだからと、平社員で再雇用され、営業の一員として働くことになった。奮闘努力の成果で課長職を勝ち取った。成果を挙げて、部長にまで昇進した。成功と実行の仲は、心を開いたり閉ざしたり、定かではない。この後、東京ラクトとの社運を賭
読了日:01月11日 著者:雫井 脩介
ダークナンバー (ハヤカワ文庫JA)の感想
ひったくり事件、放火事件への警察の捜査があります。分析センターの女性警部が主人公です。埼玉県警と警視庁に跨って彼女の指摘によって動きます。一方、東都テレビに上昇志向の強い女性ディレクターがいる。女性警部と中学の同級生です。タイアップを申し込みます。それぞれのネタとヒキを提供し合う。お互いのデータを照合すると、中国からの密航者が浮かび上がってきます。それはダークナンバー=黒孩子を意味するのだ。警察での生き方・過ごし方は警察小説でよく見ているでしょう。テレビ局での生き方・過ごし方は読んだことがない。こんな風に
読了日:01月09日 著者:長沢樹
消失グラデーション (角川文庫)の感想
探偵小説で密室トリックものなんですよ。屋上から飛び降りた女子高生が消えてしまった。舞台は男子バスケット部・女子バスケット部。バスケットの試合や練習に紙幅を割いているが、へぇ、バスケットとはそういうものなのか。ホームズ役が放送部員なんですよ。ワトソン役にバスケット部員を従えて神出鬼没する。ジェンダー問題を問うているわけです。ネタバレになるから伏せておこうと思ったが、メインテーマがこれなので隠すわけにはいかない。読み終わって、背負い投げを食らった気分、そういう風に持っていくかい。すごい未消化のものが残ります。
読了日:01月05日 著者:長沢 樹
ナカスイ!海なし県の海洋実習の感想
前作からのヒロイントリオ、鈴木さくら、芳村小百合、大和かさね、2年生になりました。転校生がいて、野原麻里乃、埼玉県から転校してきたのだ。両親はこっちでカフェを開く。一緒に来ざるを得ないのだ。今回のイベントは、某デパートでの催事売り場での水産品の加工品対決、どこが一番になるか。実はそれぞれの家庭で家計事情が悪くなってきている。下宿を中止しなきゃならなかったり、店を畳んで県外に出て行かねばならなかったり。売り上げ一位を賭けて、本気でやらなければならないのだ。鈴木さくら、恋します。那賀湊海洋高校の関清斗なのだ。
読了日:01月04日 著者:村崎なぎこ
ナカスイ!海なし県の水産高校の感想
実在するのは馬頭高校水産科、これを那珂川水産高校に変更した。那賀川も実在するし、近隣の高校も実名ででている。新入生に女子が三人いる、わたし=宇都宮から来た鈴木さくら、平凡な中間くらいの女子です。東京から来た芳村小百合=存在感の薄い子。大和かさね=ギャルを目指してアニメばっかり見ている。かさねの家は民宿で、女子高生二人は下宿、もう一人は下宿先の子。[ご当地おいしい!甲子園]に出場して、予選を戦い本戦を戦うわけです。著者はブロガーから出発しています。ブログによくある、くすぐり、謎かけ、いじりを多発させています
読了日:01月03日 著者:村崎なぎこ
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