7月に読んだ本
7月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2853
ナイス数:99
雨露の感想
彰義隊の始まりから瓦解までのいきさつです。主人公は小山勝美、川越松平家の藩士で次男坊なのだ。次男坊は生きる道を探さねばならない、小山勝美は絵の道を選んだ。兄の押し付け我がままで彰義隊に押し込まれた。一発の弾丸も撃てないなまくら隊員です。人を殺すのが怖いのだ。激しい銃撃戦、剣激戦の描写が続きます。勝美は生き残った。小説の始まりは上野寛永寺の跡地に15年後来てみたら彰義隊の生き残りと出会った。そこから振り返ってのお話しです。梶よう子には絵師摺り師のシリーズがある。武士の世界を職人の世界に近寄せて、彰義隊を見る
読了日:07月30日 著者:梶 よう子
失踪人 磯貝探偵事務所ケースCの感想
銀の鰊亭シリーズ[<銀の鰊亭>の御挨拶][<磯貝探偵事務所>からの御挨拶]に続く三作目です。探偵磯貝は失踪した姉の行方を捜索するよう依頼を受ける。調べているうち、彼女の母親も失踪したことを知る。姉は北海道知事の特別秘書で、失踪する前に知事に辞表を出して退職していたことを知る。事態は知事が特別秘書を拉致して殺害したのかもしれないと疑われる。粗筋紹介はこのへんまでとしておきます。小路幸也には悪人は出てきません。今回悪人らしいのが出ているじゃん。それも三十年か四十年前の悪事じゃん。それが未だに尾を引いて、という
読了日:07月22日 著者:小路 幸也
海を破る者の感想
河野六郎通有が主人公、伊予の豪族だが、過去、鎌倉方に叛いて朝廷方に味方した。それが失敗して、国主の座を追われ、没落した。元の来襲あり。最初の来襲は追い払ったが、二度目の来襲、弘安の役なのだ。鎌倉は、河野を四国警護に任じ、伊予一番の御家人の座を与える。サブの主人公が二人いるのですよ。西域から来た美女、令邦、高麗から来た繁。奴隷商人から買い取って解放してやる。予定調和を大幅に破ってお話しは進む。恐らくこういう風に終わるだろうな、いいえ、思いがけない終わり方になる。どんな終わり方?それは語れない、そこは自分で読
読了日:07月18日 著者:今村 翔吾
奄美でハブを40年研究してきました。の感想
島根県の田舎から東大に進学し、農学部畜産獣医学科卒業、東京大学医科学研究所奄美病害動物研究施設に40年間勤務した。1部 毒蛇ハブ、確かに奄美にいます 2部 奄美で自然まみれ 3部 文化と自然 1部 が全体の半分以上、ハブのお話しがいっぱい出てきて満足です。1部もエッセイだなぁ。2部、3部はエッセイのようなもんです。ハブ以外の奄美ばなしで満ちています。表紙も本文のイラストもすべて著者の筆です。そうか、学者は論文発表に細密画も載せなきゃならんのだ。傾向として、学者が書いた本より、地方公務員が書いた本のような味
読了日:07月15日 著者:服部 正策
バタン島漂流記の感想
古文書によるものではないでしょう。すべて作者の創造物でしょう。名古屋徳川藩の廻船問屋権屋は知多半島に本拠を置く。そこの持ち船颯天丸が江戸に出港した。帰り船は知多半島目前で嵐に巻き込まれた。東へ流れ黒潮反流に乗って西へ向かった。船の乗組員は15人、南の小島に流れ着いた。バタン島と言うらしい。水夫の和久郎は船大工の経験があった。舟を作って日本へ帰ろう。10分の1縮尺の舟は海に浮かんだ。それからは、第二颯天丸をみんなで作り始めた。最後は悲劇じゃないです。成功裏に終わります。ただし、15人の乗組員は11人で日本に
読了日:07月14日 著者:西條奈加
これが広島弁じゃ!の感想
2016年の発行、空気感、環境は全然変わっていない。しみる、うばる、にがる、広島人以外の医者に訴えても伝わらないそうです。きっぽ、傷跡のこと、はぁて、広島人以外はこれをどう言うとってんの。この本に書いてないフレーズ こんなぁ、ちょっと前へ座れ、言うて聞かせることがある これはちょっとじゃ済まないよぉ、広島弁の例文に採録されていないのが残念じゃね。多い、遠い、全国アクセントは オオイ、トオイ、広島アクセントは、オオイー、トオイー、全国では頭高アクセント、広島は尻高アクセント アクセントはなかなか学習の効果が
読了日:07月09日 著者:
船を待つ日 小坂屋お嬢の江戸見廻り始末の感想
ヒロインは小坂屋の跡取り娘・翠、15歳です。ヒーローは奉行所高荷見廻り与力の長男、11歳。時は家光の次の将軍家綱のころ、島原の乱の影響がまだ残っているころです。船を待つとは何を待っているのか。人買い船を待っているのです。島原の乱の当時は子供の人さらいが横行していた。それがまた復活したようなのです。九州で子供をさらい、大阪に集め、江戸まで連れて行く。小坂屋は古道具屋、近所の同業に口之津屋があります。その店が人さらい摘発の元締めなんです。姉妹編、この本のあとに、[風を待つ日 - 古物屋お嬢と知恵伊豆様の落書]
読了日:07月08日 著者:村木 嵐
シャルロットの憂鬱 (光文社文庫)の感想
シリーズ本[シャルロットのアルバイト]があります。去年読みました。順序はこっちが先輩、のちにアルバイトが出ています。シャルロットとはジャーマンシェパード、元警察犬です。6篇の短編集です。飼い主の夫婦のこと、犬仲間の近所の人々、あげくは猫までも登場してきます。表題の[シャルロットの憂鬱]どういうお話しなのか。シャルロットは警察犬だったが、警官も警察も嫌いなのです。仕事上、従ってはいたが、警察を引退した今はもう警察に近づく気はないようです。憂鬱というのはシャルロットの気分なんです。悪いヤツもやっぱり出てきます
読了日:07月05日 著者:近藤 史恵
もう、聞こえない (幻冬舎文庫 ほ 14-2)の感想
第1章、何を伝えたいのか戸惑いました。本気で読むのを止めようかなと思いました。警官に菊田巡査部長がいる、お、姫川玲子のスピンオフじゃん、違った、菊田は女だった。100ページあたりで、うんと前、ちょっと前、今の三つの時が同時に語られているのだと分かる。今の被疑者が声が聞こえるという意味は、ちょっと前に殺された女の声なのだ。幽霊とは言わない、他界した者からの声が聞こえるのだ。他界した者からの念は現世の人間になかなか届かない。届くと、破壊的な伝達が完成するのだ。ちょっと前に他界した女は、うんと前の殺人事件のこと
読了日:07月04日 著者:誉田 哲也
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