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「武田の金、毛利の銀」垣根涼介 角川書店
あれ、このメンツは「光秀の定理」の出演メンバーと同じじゃないか。
破戒坊主の愚息と武芸者の新九郎。
そうです、前作の続編なんです。
信長に命じられて、光秀と愚息・新九郎は武田の金の算出を探りに甲州へ旅立つ。
甲斐は武田家中に蔵前衆で仕えるもので、土屋十兵衛と名乗る男と知り合う。
武田の金を探り、石見の銀を探ることを聞くと、武田の金については全部を教えよう。
ついては、石見の銀を探るならわしも混ぜてくれぬか。
この男土屋は徳川幕府の大久保長安なのではなかろうか。
光秀と愚息・新九郎・土屋の四人は、いざ、石見の国に入って行くと、波乱万丈チャンチャンバラバラ
帰って、上様に報告する内容・語り口はどうしたものか。気を配らねばならぬ。
「Z世代の闇」シンシアリー 扶桑社
副題に、物質主義に支配される韓国の若者たち
著者は韓国から脱出して日本国に帰化しています。
Z世代とは20代30代を意味します。
20代30代と40代50代とはどう違うかを述べています。
結論、同じ。差はない。
著者は物質主義を拝金主義と同一視しています。ちょっとそれ違うんじゃないの。
ドグマが激しいので逆らえません。
韓国では歯科医師であっただけに、医師の集団ストライキについて論じています。
ストライキに賛成・反対を述べていません。立場を明快にし難いのかねぇ。
著者は韓国を脱出して日本に帰化しました。
それでも思考法は韓国人そのものです。
差し出してくる事柄がわたしには心情的にマッチしません。
一人出世すると家門が栄える。親戚一同・末々まで恩恵を及ぼすのだそうです。
日本でも過去はそんな事態がありましたが、現在ではきれいに拭い去られています。
出生率の低下、韓国人ならでは理由があるのだそうです。
それが何か、著者の歯切れが悪いので伝わってきません。
この本、読んで面白いか。面白くありません。
元韓国人が韓国を解き明かしているのだが、歯切れが悪いから、伝わってきません。
「60歳からの知っておくべき経済学」高橋洋一 扶桑社新書
序 章 学び直しの姿勢
第1章 経済の一般常識
第2章 日本の財政の真実
第3章 知っておきたい税の基本
第4章 社会保障・年金のイロハ
第5章 個人資産の形成と防衛術
終 章 シニア読者に役立つ新視点
一番チカラを入れているのは第2章、国債を発行して子孫に償還させるのか、この論議に終止符を打っている。
国債は資産化して稼ぐチカラになっているのだ。
もっと国債を発行して税金の依存度を減らしてもよい。
東日本復興税というのがある。税金ではなく国債を発行して充当すべきだったのだ。
国債の償還期限を100年200年にして年単位の償還を少額にすれば解決するのだ。
第5章 個人資産の形成と防衛術 終章 シニア読者に役立つ新視点 資産を持っている人なら迷うところだが、持たざる人は悩みようもない。
最後は著者の論旨ではない、わたしの考えなのだ。
言い尽くされたネタなんですがね、会話中に、自分は、と切り出されると誰を指しているのか、という問題です。
関西以外のたいていの日本人は、一人称で扱います。
関西人が、自分は、と語っているのは二人称なのです。
わたしが関西に上陸して、自分は、自分は、とさかんに話しかけられて驚きました。
文脈の関係から、関西での、自分は、は、二人称として迫られます。押し付けられます。
日本語学校の講座には絶対に出てこないだろう教材です。
学校では学ばないが、日常体験としてを覚えていくわけです。
二人称ととしての自分は文章には出てきません。戯文、エッセイ、漫才台本ならオッケー。
文章の中で、二人称の自分を使うのは禁忌だとの意識は関西人にもあります。
会話は別です。なんのためらいもなくタブーを無視します。
中華民国、中華人民共和国、言い始めてから、まだ百年も経っていません。
中華とは近年からの言い方なのか、どうもそうではないらしいのです。
東夷北狄西戎南蛮
東西南北、周辺の土地は未開野蛮だと蔑んでいるわけです。
では、真ん中の地域はどう呼んだのか、中華と呼んだようです。
あえて呼ばなかったけど、意識はそのようにあった、ようです。
唐の時代、明の時代、それぞれの時代で自らの土地をこれこれだと呼ぶことはなかったらしい。
ただ、意識は常に中華とあったらしい。
清がぼろぼろに負けたとき、そこで中華の意識が表に出たみたい。
中華民国、中華人民共和国、華人、一気にひろまったらしい。
他国が自国を呼ぶのに、CHINAは受け入れるが、支那はゼッタイ受け入れません。
支那が蔑称となったから拒否するわけです。
中華の国と、美称尊称を押し付けるのもいかがなものかと思いますよ。
「三河雑兵心得 豊臣仁義」井原忠政 双葉文庫
大久保忠与が生死の境にいるそうな。
家康は茂兵衛に死ぬ前に見舞いに行ってくるよう申し付けた。
淀の城から小田原まで鉄砲百人組、総勢三百人が四日で駆けつけるのだ。
箱根の山中で野武士に襲われた。反撃して蹴散らした。
捕えてみると、首領は風魔の小太郎だった。小田原の牢に繋いだ。
これは脇道のネタ、太閤秀吉と関白秀次の仲が急速に悪くなる。
世子徳川秀忠が聚楽第にいる。人質になりはしまいか。茂兵衛は家康に命じられて救出に向かう。無事救出した。
その後、太閤と関白の仲は最悪となり、高野山で腹を切った。
茂兵衛の立場での歴史談、どこまで続くんだろう。
惣無事令が施行されてから、戦はとんとなくなり、功名を挙げることもなくなるのだ。
7月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2853
ナイス数:99
雨露の感想
彰義隊の始まりから瓦解までのいきさつです。主人公は小山勝美、川越松平家の藩士で次男坊なのだ。次男坊は生きる道を探さねばならない、小山勝美は絵の道を選んだ。兄の押し付け我がままで彰義隊に押し込まれた。一発の弾丸も撃てないなまくら隊員です。人を殺すのが怖いのだ。激しい銃撃戦、剣激戦の描写が続きます。勝美は生き残った。小説の始まりは上野寛永寺の跡地に15年後来てみたら彰義隊の生き残りと出会った。そこから振り返ってのお話しです。梶よう子には絵師摺り師のシリーズがある。武士の世界を職人の世界に近寄せて、彰義隊を見る
読了日:07月30日 著者:梶 よう子
失踪人 磯貝探偵事務所ケースCの感想
銀の鰊亭シリーズ[<銀の鰊亭>の御挨拶][<磯貝探偵事務所>からの御挨拶]に続く三作目です。探偵磯貝は失踪した姉の行方を捜索するよう依頼を受ける。調べているうち、彼女の母親も失踪したことを知る。姉は北海道知事の特別秘書で、失踪する前に知事に辞表を出して退職していたことを知る。事態は知事が特別秘書を拉致して殺害したのかもしれないと疑われる。粗筋紹介はこのへんまでとしておきます。小路幸也には悪人は出てきません。今回悪人らしいのが出ているじゃん。それも三十年か四十年前の悪事じゃん。それが未だに尾を引いて、という
読了日:07月22日 著者:小路 幸也
海を破る者の感想
河野六郎通有が主人公、伊予の豪族だが、過去、鎌倉方に叛いて朝廷方に味方した。それが失敗して、国主の座を追われ、没落した。元の来襲あり。最初の来襲は追い払ったが、二度目の来襲、弘安の役なのだ。鎌倉は、河野を四国警護に任じ、伊予一番の御家人の座を与える。サブの主人公が二人いるのですよ。西域から来た美女、令邦、高麗から来た繁。奴隷商人から買い取って解放してやる。予定調和を大幅に破ってお話しは進む。恐らくこういう風に終わるだろうな、いいえ、思いがけない終わり方になる。どんな終わり方?それは語れない、そこは自分で読
読了日:07月18日 著者:今村 翔吾
奄美でハブを40年研究してきました。の感想
島根県の田舎から東大に進学し、農学部畜産獣医学科卒業、東京大学医科学研究所奄美病害動物研究施設に40年間勤務した。1部 毒蛇ハブ、確かに奄美にいます 2部 奄美で自然まみれ 3部 文化と自然 1部 が全体の半分以上、ハブのお話しがいっぱい出てきて満足です。1部もエッセイだなぁ。2部、3部はエッセイのようなもんです。ハブ以外の奄美ばなしで満ちています。表紙も本文のイラストもすべて著者の筆です。そうか、学者は論文発表に細密画も載せなきゃならんのだ。傾向として、学者が書いた本より、地方公務員が書いた本のような味
読了日:07月15日 著者:服部 正策
バタン島漂流記の感想
古文書によるものではないでしょう。すべて作者の創造物でしょう。名古屋徳川藩の廻船問屋権屋は知多半島に本拠を置く。そこの持ち船颯天丸が江戸に出港した。帰り船は知多半島目前で嵐に巻き込まれた。東へ流れ黒潮反流に乗って西へ向かった。船の乗組員は15人、南の小島に流れ着いた。バタン島と言うらしい。水夫の和久郎は船大工の経験があった。舟を作って日本へ帰ろう。10分の1縮尺の舟は海に浮かんだ。それからは、第二颯天丸をみんなで作り始めた。最後は悲劇じゃないです。成功裏に終わります。ただし、15人の乗組員は11人で日本に
読了日:07月14日 著者:西條奈加
これが広島弁じゃ!の感想
2016年の発行、空気感、環境は全然変わっていない。しみる、うばる、にがる、広島人以外の医者に訴えても伝わらないそうです。きっぽ、傷跡のこと、はぁて、広島人以外はこれをどう言うとってんの。この本に書いてないフレーズ こんなぁ、ちょっと前へ座れ、言うて聞かせることがある これはちょっとじゃ済まないよぉ、広島弁の例文に採録されていないのが残念じゃね。多い、遠い、全国アクセントは オオイ、トオイ、広島アクセントは、オオイー、トオイー、全国では頭高アクセント、広島は尻高アクセント アクセントはなかなか学習の効果が
読了日:07月09日 著者:
船を待つ日 小坂屋お嬢の江戸見廻り始末の感想
ヒロインは小坂屋の跡取り娘・翠、15歳です。ヒーローは奉行所高荷見廻り与力の長男、11歳。時は家光の次の将軍家綱のころ、島原の乱の影響がまだ残っているころです。船を待つとは何を待っているのか。人買い船を待っているのです。島原の乱の当時は子供の人さらいが横行していた。それがまた復活したようなのです。九州で子供をさらい、大阪に集め、江戸まで連れて行く。小坂屋は古道具屋、近所の同業に口之津屋があります。その店が人さらい摘発の元締めなんです。姉妹編、この本のあとに、[風を待つ日 - 古物屋お嬢と知恵伊豆様の落書]
読了日:07月08日 著者:村木 嵐
シャルロットの憂鬱 (光文社文庫)の感想
シリーズ本[シャルロットのアルバイト]があります。去年読みました。順序はこっちが先輩、のちにアルバイトが出ています。シャルロットとはジャーマンシェパード、元警察犬です。6篇の短編集です。飼い主の夫婦のこと、犬仲間の近所の人々、あげくは猫までも登場してきます。表題の[シャルロットの憂鬱]どういうお話しなのか。シャルロットは警察犬だったが、警官も警察も嫌いなのです。仕事上、従ってはいたが、警察を引退した今はもう警察に近づく気はないようです。憂鬱というのはシャルロットの気分なんです。悪いヤツもやっぱり出てきます
読了日:07月05日 著者:近藤 史恵
もう、聞こえない (幻冬舎文庫 ほ 14-2)の感想
第1章、何を伝えたいのか戸惑いました。本気で読むのを止めようかなと思いました。警官に菊田巡査部長がいる、お、姫川玲子のスピンオフじゃん、違った、菊田は女だった。100ページあたりで、うんと前、ちょっと前、今の三つの時が同時に語られているのだと分かる。今の被疑者が声が聞こえるという意味は、ちょっと前に殺された女の声なのだ。幽霊とは言わない、他界した者からの声が聞こえるのだ。他界した者からの念は現世の人間になかなか届かない。届くと、破壊的な伝達が完成するのだ。ちょっと前に他界した女は、うんと前の殺人事件のこと
読了日:07月04日 著者:誉田 哲也
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